第6話 エッチにいたるまで

 源氏物語の時代は、まず、気になる女性ができると、まずは、手紙(和歌を添える場合もある)を送ります。それに対して女君の方は、その気があれば、OKの手紙を返します。

 そして、男は宵闇の中、もう暗くて互いの顔もよくみえない頃に、牛車で相手の女の元に行きます。そして、ついに、暗い中、女の寝所に入り、エッチをするのです。次の朝、家に戻った男君は「後朝きぬぎぬの歌」(初エッチの感想)を送らなければならなりません。これが女君の元に届いて、初めて、結婚成立となります。そして、結婚が成立したら、3日間はその女の元に通わなくてはなりません。

 初エッチは暗闇の中手探りです。相手の顔もよくはわからない。身体を触って相手のボディを味わいながら、事を進めていきます。相手の顔がはっきりわかるのは、朝日が昇ってからです。だから、朝起きて相手の顔を見て「え~」ということも起こりうるわけです。

 こんな調子であるから、光源氏にもこの「え~」という失敗があります。相手は末摘花の君という方です。

 どこからか、この姫君の噂を聞きつけ、源氏は興味を持ちます。そして、姫の女房(世話係)にとりもってもらって、ついに、夜この姫の寝所に入り込みます。暗闇の中、手探りで、末摘花とのエッチに臨む光源氏。何やら、ごつごつ骨ばっていて、何だか妙な手ごたえを感じながら、事をおえる源氏。

 そして、翌朝、源氏は、この姫君の姿を目の当たりにして唖然とするのです。

 長い顔、そしてその鼻の先は赤く色づいている。なんとも、不器量な姫でした。あまりの醜さに源氏はあっけにとられてしまいます。

 プレイボーイの光源氏、時にはこういう失敗もしてしまいます。ただ、源氏のいいところは、それがどんな女であれ、1度エッチをした女性のことは、決して見捨てないことです。末摘花も、後には源氏のハーレムにちゃんと迎え入れて面倒を見ています。

 ただし、足しげく通っていたかどうかは定かではありませんが。

 

 読んでいただきありがとうございました。

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