第3話 マザコン光源氏
光源氏は幼いときに母親を亡くします。それが桐壷の更衣です。桐壷の更衣は身分が低いにもかかわらず、帝に溺愛された女性です。その帝のあまりの溺愛故に、他の身分の高い女たちからも、身分の低い女たちからも、みんなから、嫉妬故にいじめにいじめぬかれて、やがて、病気がちになり、ついには命を落としてしまいます。
光源氏は母親のことをあまり覚えていません。そこで父帝の中宮の藤壺の宮が母親に似ていると聞いて、幼い頃から藤壺の宮に母の面影を見て育ち、やがて、それは、男女の恋愛感情へと変わっていきます。
そうだ。光源氏はマザコンなのです。元々藤壺に横恋慕したのも、始まりは母の面影を求めてでした。「母はこんな方だったのだろうか」という母親の面影を求める気持ちが、成長とともに、恋愛感情へと変わっていったのです。そして、光源氏にとってもはや最愛の女性は藤壺しかあり得ず、それ故に過ちを犯してしまうのです。
男は多かれ少なかれマザコンです。光源氏の場合は、あまりに早く母親を亡くしたが故に、その思いが強すぎて、それを藤壺の宮の中に見出し、やがて、男女の恋愛にまで発展させてしまうのです。
一度きりの過ちはあったものの、藤壺は父帝の妻です。決して、過ちのことは知られてはならないし、世間の前では、あくまで、父帝の妻と、その息子としてふるまわなければなりません。源氏のフラストレーションはたまる一方です。それを他の女で埋め合わそうとたくさんの女とエッチをします。
そこで登場するのが、まだ少女の紫の上です。紫の上は、藤壺と姻戚関係にあり、源氏はこの少女に藤壺の面影を見出すのです。そして、ついには自分の手元に引き取って、自分の理想の女性に育てていきます。今だったら犯罪です。通報されます。
何も知らない少女、若紫は、源氏のことを兄のように慕っています。だが、ある日光源氏は、ついに、紫の上と無理やりエッチしてしまいます。兄のように慕っていた源氏から突然、エッチされ、紫の上はショックを受けて、日が高くなっても起きてきません。
母の面影を藤壺に見出し、強引に関係を結び、現世では夫婦にはなれない藤壺の面影を、今度は紫の上に見出し、強引に妻にしてしまう源氏。
どこまでも、母親の面影を探すことから始まったマザコンの悲劇と言えばそうとも言えるでしょう。
読んでいただきありがとうございました。
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