不運の藤見

それから何度か危ない目にあった



車にひかれそうになったり

根も葉もない汚職事件がでてきたり

女性スキャンダルに巻き込まれそうになったり


いやな手紙が届いたり

『やめておけ・・・地獄におちるぞ・・・』

私は、天国も地獄も信じていない

死ねば形がなくなる・・・自分の存在がなくなる事にあらがって何がわるい

それが、生きるという事だと思っている



それでも、妨害工作にも負けず政治活動を続けていた


病気の子どもを支援し、

お年寄りの医療の支援を行った



私の医療・福祉の政策

それから、老いない体を求める『不死身』の理念


少しずつ賛同してくれる人が増えていった



そして、いよいよ議会で『不死身』について話す機会をもらった

『人は多くの苦しみをおって生まれてきます

 その一つが老いです』

『醜くなり、腰が曲がり、頭から活力と記憶力がなくなっていきます』

『みなさん、医療技術は日々進歩しています』

『そろそろ、そんな人の苦しみから解放され、

 いつまでも若々しく過ごせる時代を目指しましょう』

『遺伝子治療・・・ご存知でしょうか』

『私たちの遺伝子を直接治療する技術です』

『これは、不老者の可能性を持った夢の技術です』

『私は、この技術を用いた『不死身』がすでにいるのではないかと考えています』

『私は、だれもが望めば『不死身』になれる世の中するのが私の政治であります』



議場でスピーチを行っている最中

藤見のお腹に違和感があった


・・・ものすごく・・・うんこがしたい

おそらくスピーチの前に飲んだ水に下剤が仕込まれていただろう


それでも、藤見は顔色変えずに壇上でスピーチを続けた

もうだめだ・・・藤見は肛門を力を緩めスピーチに集中した


議長は、異臭に気づいたようで顔をしかめている



藤見はスピーチを終えて

トイレに向かった



不運には慣れている

藤見は服を脱ぎだした

中には防弾チョッキ、、そしてズボンの下にはオムツが出てきた


『備えあれば憂いなし・・・』

ひとり呟きながらオムツのうんこをトイレに流した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る