7日目

 朝、全ての国民に向けてラジオ音声が発せられた。


「全ての国民の皆様、おはようございます。女王アイラです。


 私はこの雪深いザネトリカの繁栄の為、連合六国に対し共同宣言を受諾する旨を伝えました。


 約10年にわたり行われた戦争の中、全ての命を懸けてくださった男性、女性の皆様には心からの感謝を表します。


 命を、土地を、家族を失い、我々は困難の中にあります。


 私自身も父、兄弟、母を失いました。

5年前、父や兄弟たちと王宮のバルコニーから国民に挨拶した時の事を今でも思い出します。皆、笑顔と自信に満ちていました。

その後、そのバルコニーに焼夷弾が落ちたことも私は忘れる事は出来ないでしょう。


 半月前の首都への大規模爆撃、首都の半分以上が破壊され多くの人命が失われました。

国境付近の軍団は降伏し、我らの土地は踏みにじられたのです。


しかし、我々は客人に対し決して恐怖してはなりません。


我々は毅然とした態度で彼らを迎え入れなくてはなりません。

自分の家に泥の付いた靴で上がってこようとも、お茶を出さなくてはならないのです。


 我々は戦争に戦略的に敗北しました。


ですが、その魂は敗北していないのです。


失われた命と憎悪は私自身の命を懸けて、責任を持って天国へ送り届けます。


皆様はどうか立ち上がって、前へ前へお進みください。


 もうすぐ春が来ます。きっと来るのです。

全ての産まれてくる子供たちへ、祝福を。」


王宮の鐘の音が21回鳴らされた。

この放送は各国に事実上の降伏宣言として認められた。

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