6日目
夜、戦勝国の使者が王宮へ来訪するまでにすべての作業工程が完了し、アイラはあとの事を首相に託し、一人寝室についた。
少しの間しか使っていない部屋だったが幼いころから使っていた部屋に戻った時のような感覚に襲われた
「それよりも今は…」
女王の衣装もそのままにアイラはベットに飛び込んだ。
昨日から一睡もせずに動ける総動員で各地の調整を行った。
(やはり激戦地の国境付近には手が届かないか…)
どれだけ皆のモチベーションがあっても、戦争のダメージと混乱で手が届く範囲は限られていた。幸いに首都から離れた部分は各首長たちが積極的に動いてくれた事もあり、内閣は首都とその付近の地域に専念することが出来た。
(今は仕方ない…経済と物流、文化の心臓たる首都の機能だけでも回復できれば…)
ベットに潜り込みながらアイラは目を閉じる。疲労で意識が朦朧としていた。外ではまだ爆撃された建物の解体作業が続いていてそのリズミカルな音だけが聞えてきた。
「あとの仕事は、この命を差し出すだけ…」
アイラはぐっと身を縮みこませた。
(寒い…震えが止まらない…)
両手で肩を摩る。カタカタと体の底から震えが上がって止まらなかった。
「怖い……誰か、たすけて」
寝室の外で従者たちはアイラのすすり泣く声を聴いた。
調印式が終わる頃、ニルスは立ち上がった。
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