第114話:やばい現場を見かけたんだが③
……!
「アースもこっちまで来てくれ」
持たせていた通信結晶でアースを呼び出し、説明を始める。
「アース、スイ、二人にはあのミサイルが発射された瞬間にブレスをあててほしい。上空で爆発させれば、あとはなんとかなるはずだ。
「わかりましたー!」
と、アースの元気な返事。
「しかしご主人様、上空で爆発させても帝都の被害は抑えられないのではないでしょうか」
良い質問だ。
だが、これに詳細に答えている時間はない——
「大丈夫だ、そこは俺がなんとかする。
「わかりました、ではそのように」
その数秒後、ミサイルが王都に向け発射された。
スイとアースが同時にブレスを吐く。
二人にブレスを放ってもらっているが、主力はスイになるだろう。
属性が水だから、爆発の威力を少し弱める効果を期待できる。
もちろんアースも無駄というわけではない。
確実に当てて爆発させるには数が多いに越したことはないのはもちろんだし、少しでも反対側からの爆発により進路を変えられる期待がある。
ミサイルの速度はかなり早いが、帝都を出発した時点での速度はまだ最高速に達していないし、かなりの速度で移動できるこの二人なら目視で追いかけて迎撃することも難しい話ではない。
ドオオオオオオン‼︎
俺の狙い通り、スイとアースのブレスがミサイルに衝突する。
このままだと超高温の爆風により帝都はひとたまりもないが——
そこで、俺の出番だ。
俺は『結界魔法Lv.2』を、帝都を囲むように展開する。
結界魔法について、実は使っているうちにわかったことがある。
一定以上の攻撃を受けることで破壊されることとは別に、魔力を流し込むことで、さらに強度を強化できるようになるのだ。
俺は、自分の持つありったけの魔力を結界魔法に流し込み、展開——
「——‼︎」
とてつもない衝撃を感じる。
スキルレベルが上がってからかなり強化された結界魔法。さらには、魔力による強化もなされている。
それでもなお、ゆらゆらと不安定になっていく感覚を覚えた。
もう、あとは根性だ——
俺がどれだけ結界魔法の意地をできるか——
「………………‼︎」
言葉を発する余裕さえない。
ほんの数秒のことだったはずだが、永遠にも等しい時間に感じられた。
そんな俺の頑張りの結果——
「や、やった……」
完全にミサイルの爆風を抑え込むことに成功した。
そして、気が抜けたと同時に襲いかかってくる倦怠感。強烈な吐き気と眠気も同時に襲ってくる。
どうやら、魔力を使い切るとこうなるらしい。
そういえば、エルフの里でも魔力が枯渇した住民がこんな感じになってたっけ。
……あの量の魔力を全部使い切る時が来ようとはな……。
幸い、俺はスイに乗ったままの状態。
「スイ、地上まで頼んだ……俺は、寝る……」
後始末までする気力は俺に残されていなかった。その後どうなったかは伝聞でしか知らない。
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