炎は


炎は消えかかっていた

それでも日々は続いた

文章を書く気力は無かった

ましてやそれを詩だと断定するなんて

これ以上は限界のようだった

「もう十分、頑張ったろ?」

手元のコップの表面では

バナナジュースがごぼごぼと沸騰をし始めていた

おれにはわかっているんだ

何を?

そんなこと訊かなくてもいいよ

おれにはもうわかっているんだ

ああ

だからもう何も感じないふりをするよ

それしかない

死ぬまで生きればいいだけさ

だがそれは言葉ほど簡単なものではないということも知っている


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