ファイナル美顔ボーイ、マサタカ


おれの名前はマサタカ

びしっと親指で自分をさし自己紹介をし始めた

おれはマサタカ、そしてマサタカはおれだ

無限に続く哲学の世界

その迷宮の入り口で放屁をかますマサタカ

マサタカには怖いものなど無い

夢は世界征服だった

取り敢えず鳥取を三秒で制圧した

「今日からここはマサタカランドに改名にする、異議のある奴は殺す」

世界はこのマサタカを中心に回っている

マサタカがそう錯覚するのも無理はなかった

何しろマサタカはファイナル美顔ボーイだったのだ

こと美しさにおいてマサタカの右に出るものはいない

森三中のデブぐらいのものだ

今日もテレビでデブの動向をチェックした

マサタカの観察眼は鋭い

「あのデブの一見、美顔とは程遠いフェイス………だがおれにはわかる、あれは6204年の日本の美顔だ」

マサタカランド(旧、鳥取)の一角に建てられた宮殿で自分を凌駕するほどの美顔の存在におののいた

そして噛みしめるよう口を開いた

「唯一の救いはあいつがデブであるということか、あいつがデブを辞める日、それがマサタカランドの終焉を意味する」

マサタカは早速、腕利きの呪術師を雇いデブがいつまでもデブであり続けるような呪いをかけさせた

そこで目が覚めた

なんだ全部、夢か

「ち………遅刻じゃん!」

マサタカはベッドから飛び起きると慌てて着替えて職場へと向かった

辿り着いた先はデパート

マサタカは紙オムツの実演販売人として何度かテレビで取り上げられたことのある有名人だった

素っ裸に紙オムツだけを装着したマサタカが颯爽とデパートの一角に登場した

主婦たちの視線を独り占め

叫び出した

「いま漏らしましたよ! いま漏らしましたよ!」

だが太ももには一滴もこぼれてはいない

マサタカの扱っている紙オムツの吸水性が実証されたのだ


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