パナップ食いてえ


パナップ食いてえ

大してそんなこと思ってもいないのに

そんなことを口走っていた

「ああパナップ食いてえなあ」

今年で三十九歳になる

食べたくもないパナップを食べたいとのたまう男

一家の穀潰し

それがおれ

趣味は詩を書くこと

完全に頭がおかしいその一歩手前で呟いた

「パナップ食いてえ」

まるで取り憑かれたかの如く

半開きの口から漏れる言葉

それがパナップ食いてえだった

もう誰にもおれを止めることは出来ない

はっきり言ってパナップなんてどうでも良かった

関係無い

おれにとって重要なものはパナップ食いてえであって実際のパナップではない

たとえパナップが目の前にあったとしてもおれはキョトンとそれを見つめるだけだろう

ましてやそれが何味かなんて本当にどうでもいいことなんだ


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