第十七節:本日は休日のはずだった

「しかし、魔人以上魔王未満とはな」と昨日の話を引きずっている『ウィーゼル』がいたのであった。


「それもワーム十一匹片付けて、魔術師十数体斬り倒した後だろう。よくやったと思うぜ。俺は、多分そこまで持たん」といったのは『ゲルハート』である。


「普通はパーティーで挑まないと勝ち目無いわよ? それ、魔術師は機転が利いたとしても……」といったのは『セリア』である。



 まあ何とかなったのは、多分ランクのせいであってと思っていた私がいたわけではある。


 みんなも同じランクであれば、多分似たようなことになったのではないかと思う次第であったりするわけだ。


 今日は部屋でゴロゴロする日ということで、ゆっくりと部屋で全てを行っていた。


 すべてをルームサービスで、済ませていたのであった。




 そして十二時を回るころだった。


 不意に異界の出現兆候を察知した私が、皆に異界耐性をかけたのとほぼ同じタイミングだった。


 すべてを包み隠す闇のとばりが部屋に下りたのだ。


 ただ今回は、対象は私では無かった。




 帳が下りた次の瞬間、私だけがはじき出されたそんな感覚があった。



 部屋の中に私しかいない、という状態は前と変わりないが通常の空間であった。


 エグジスタンスを唱える、そこには現世、物質界・暗黒界・魂魄界が下りていたのだ。



 暗黒界は不味いと思い、そこにアクセスすべく術を深い領域でかけていく。


 だが、私だけアクセスが弾かれてしまい入れないのだ。



 ディファレントフィールドエクスプローションと唱え、暗黒界に飛ばされたと思われる仲間を探した。


 感覚が返ってくる。


 確かに暗黒界に転移させられたようだ、ただ位置情報はそのままだった。


 疑念を覚えた、なぜ私だけ弾かれるのかを。


 その疑念に一つの回答を得た、『私の存在を偽ればいい』という回答だった。




 そしてもう一度、暗黒界に存在を偽ってアクセスする。


 今度はアクセスできた。


 もう一分は経っているはずだ、みんな同じ座標にいるとは思えなかったので、その座標に飛ぶことにする。


 そのまま仲間の元に急ぎ駆けつけるべく、自身にエイリアンテレポータルをかけ仲間と同じ座標に飛んだ。








◆ そのころ、どこかに飛ばされた俺は……『ウィーゼル』視点


「また何か起こったの?」と『セリア』がいった。


「『ウィオラ』は!?」と存在を探す俺がいた。


「今は居ねえ、だが明らかに空の色がというか、ここ部屋じゃねえ!」と『ゲルハート』が叫んだ。


「『ウィーゼル』・『セリア』ここがどこかわかるか? 俺には見当もつかん」と『ゲルハート』がいった。


「空の色から察するに、異界だけど異界にはない安定感があるからどこか別の世界かしら」と『セリア』がいった。


「だがどこの世界だ? こんな空の色見たことはない」と俺も答えた。


「ゆっくりしている暇はなさそうだぜ、お客さんご一行の到着だ」と『ゲルハート』が新調したほうのグレートソードを抜いた。


「チッ、こんな時に。だが何が来てるんだ? それによっては今の位置を割り出すことは容易になるぞ」と俺はいった。



◇ モンスター視点


 暗黒界に存在する、モノたちが異物を感知して集まって来ていたのであった。




 集まってきたモノたちは異物が攻撃態勢を整えているのが、その周囲に放たれる殺気で分かったのであった。


 モノたちは自らの得意な距離にとどまって行き、接近戦距離を必須とするモノのみが必然という感じに揃ったのである。


 その異物の数は三だった。


 モノたちはその倍はいた。




 つまり六体が六方向からやって来たのである。



◆ 俺『ウィーゼル』視点


「あれは悪魔だ!」と俺は叫んでいた。


 神殿の文献で読んだことがある知識であった。


「ということはここは暗黒界?」と『セリア』がいった。


「悪魔界なんて言うのの話は聞いたことは無いから、そうかもな」と戦闘準備を一瞬で行う俺がいた。


「一瞬魔界かとも思ったけど、空の色が赤黒くなくて紫色だからどこか違う世界だとは思ったのだけど……まさか暗黒界とはね」と『セリア』がいう。


「暗黒界は文献がとぼしいから、あまり知られていないのよ」ともいった。



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