第十節:師匠の痕跡
情報通ベンスに「二日後にこの場所で」と伝えると、『ベンス』が頷いた。
それを確認すると、冒険者ギルドから出て剣匠の店に寄った。
まだ『ゲルハート』は剣匠と話しているようだった。
店先ではなく奥で話しているようだったので、先に宿に帰る旨を店員に伝えてもらうようにすると先に宿に帰っていったのである。
宿では『ウィーゼル』が一人昼食を食べていたのであった。
「一人ですか?」と聞くと「『セリア』は魔導士ギルドに行ったよ、書庫に用事があるらしい」という答えが返ってきた。
「『ゲルハート』を剣匠に紹介してきました、剣は創ってもらえるとは思いますが、時間はかかりそうですね」というと。
『ウィーゼル』が驚いたような反応を示した。
「いったいどういう魔法を使ったんじゃ?」と。
事のあらましを掻い摘んで話すと納得したようだった。
「てことはお昼はまだか、まだ間に合うからもう一つ頼もう」と『ウィーゼル』がいって昼食が食べられることになったのであった。
「ありがとう、『ウィーゼル』」というと「俺の方こそみんなを巻き込んだからな、まさかここまで来るのが試練になっているとは思わなかったよ」といって笑ったのであった。
そして夕方ごろまで二人で防具の手入れをしたりしながら、話しドリンク類も頼んで休憩と
夕方になってから日が陰りだしてから『ゲルハート』が帰ってきた。
「おかえりなさい。どうでしたか? 良い剣は創ってもらえそうですか?」と私が先に聞いた。
「『ウィオラ』のおかげで、良い剣を創ってもらえることになった。偏屈者という事だけが先行していたんだが、あのオヤジなかなか凄い腕のようだな」と『ゲルハート』がいった。
続けて「少し特殊な素材で剣を創ってくれるそうだ、今度の剣は魔を斬る様に鋭利な刃の付いた少し長めのグレートソードのようだ。耐久性も素材のおかげでピカイチのようだしな」と『ゲルハート』は追加した。
「んで、俺の用事は二週間半ほどかかりそうなのと五十プラナほどかかるそうだ」ともいったのである。
「あの剣匠に創ってもらえるんじゃから、安い部類じゃとは思うが。『ゲルハート』の用事が一番長く付きそうじゃな」と『ウィーゼル』がいった。
「確かに違いない」と装備を外しソファーに腰を下ろしながら『ゲルハート』はいった。
「んで、『セリア』が戻ってないようだが? 用事か?」と『ゲルハート』がいった。
「そろそろ帰ってくるとは思うんじゃが、魔導師ギルドの書庫に行ったっきりじゃよ」と腕甲を整備しながら『ウィーゼル』がいう。
「持ち出し禁止の書物とかを、見ているのではないでしょうか?」と私は防具の整備を終えながらいった。
「それも長くかかりそうだな、一週間か十数日は掛かりそうだな」と『ゲルハート』は防具を外しながらいった。
「夕食時までには帰ってくると思いますけど」と私がいったときであった。
「ハーイ、お待たせ」と上機嫌で『セリア』が帰ってきたのであった。
「何かいいことでもありましたか?」と私が聞くと「大分いい文献が見つかったのよ、まさにほしいものが一番に見つかってよかったわ」とかなり機嫌がよかったのである。
「てことは俺が一番かかるな」と『ゲルハート』が普段着に着替えて出てきていった。
「どれくらいかかるの?」と『セリア』がマントを外しながら聞いた。
「二週間半ほどかかるらしい、なんでも特殊な工法を使用するらしいんでな。普通の素で売っているグレートソードとは比較にならんほど、耐久性が上がるようだ」とすでに夕食態勢の『ゲルハート』はいう。
「ルームサービスで夕食とするか、豪華らしいんだがルームサービスでも行けるらしい」と『ウィーゼル』も防具の整備を終えながらいった。
「二週間もあれば、ドレスが新調できそうですね。特殊素材でも行けそうです」と私はいった。
「そういう『ウィオラ』ちゃんは用事どんな感じだった?」と『セリア』がソファーに腰を下ろしながらいった。
「いい情報屋に当たったみたいでしたから、二日ほどで情報は取れるそうです」と私も夕食態勢にしながらいった。
その日の夕食は豪華なフルコースを部屋で堪能した。
久しぶりのエッシャレオンやカウフィーを皆で楽しんだのであった。
そして二日目は、『セリア』がまた書庫へ行き。私も特殊素材のドレスを創れる店を宿の店員から聞き出しその店に行ったのである。男性陣二人は暇を持て余し気味であった、なので朝から難しい挿しモノであるチェスロットというチェスに似たゲームをしていたのであった。
かくいう私のほうは、店まで三時間だが街乗りの馬車を使い短縮し三十分で行けたのである。
そしてその時間を利用し、
その生地を見た店員が店長を呼び、即話の場が持たれたのである。
「できるのですか? できないのですか?」と問うはめにはなった。
店長が「分かりました直ぐ掛からせていただきます。三十プラナほどかかりますがよろしいですか?」といってサイズチェッカーを呼んだのであった。
私は無言で店長の前に五十プラナ硬貨を置いたのであった。
店長がそれに目をむきかけて白装束の私と硬貨を見て、「伝説の――」と言いかけたので人差し指を口の前に一本立てて「
「魔導の防汚・防
「分かりました、お願いしましょう」といってそちらへ向かうのであった。
サイズを測られ、「一週間ほどお待ちいただけますか」というので「モンド商会、フレイ一号店のツインダブルロイヤルスイートに泊まっていますのでそちらへ届けてください」という事になった。
ツインダブルロイヤルスイートは、一室しかないので分かりやすいのであったからである。
こうして二日目の用事も済み、私は無事夕食前に宿に戻れたのであった。
夕食も昨日と同じになったのはいうまでもない。
そして運命の二日目、私はいの一番に宿の部屋から出た。
昼まで間があるがこれくらいでちょうどよいというのが分かったからである。
冒険者ギルドに行くと丁度お昼くらいになってから着いた。
例のごとく二階に上がり例の席に行った。
すると赤毛の『ベンス』が既にその席で待っており「いい情報が取れた」といったのである。
内容を聞く前に百ゴルトを先に机の上に置く。
「今の場所はプレグレード付近らしい、プレグレードはここから東の城塞都市の名前だ、どうやらそこに
「その情報なら確かに百ゴルトだな」と落ち着いた低い声でいうと五十ゴルト硬貨二枚を『ベンス』に渡したのであった。
「そしてご苦労」というと席を立って冒険者ギルドを後にしたのである。
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