第八節:試練の終わり

 城塞都市ミトスの関所を無事通り抜け、とはいっても荷物もたいしたことはないし、冒険者証も特に問題ないので関所で止められることはなかったわけである。


 フレイへの道が開かれたのであった。


 確かに大きな橋である。


 異界は広がってないが、とてつもなく大きい構造物であることが分かった。


 橋にしては幅がもの凄く広いのだ。


 端が見えないくらいの幅であることが分かった。


 ミトス内部の大通りよりも、広いのではないであろうか。


 ものの一時間もすると環状運河の最北端が見えて来た、今日の行程はこの環状運河を渡り切って馬車寄せで休憩して夜をやり過ごす事だった。


 橋の左端に近い所を通り、南下する事十二時間もちろん馬車の足でだ。


 馬車の御者は『ウィーゼル』が他の馬三頭には、性格の荒い白毛しろげの白馬に私、性格の大人しい栗毛くりげの馬に『セリア』、しっかりものの青毛の黒馬に『ゲルハート』が乗り速度は馬車に合わせてあったのである。


 馬車自体も白い塗料で塗られており、二頭立ての馬は二頭とも芦毛あしげの馬であった。


 馬車や馬自体も途中の休憩所で休憩をはさみながら、かなり高速度で走っていたので十二時間で済んだのであった。



 問題はそこから先であった、夜を越え先の道が見えた。


 少し丘のようになっているのである。


 馬への負担を軽くするために車速を抑えなければならず。


 二日はかかると思われたのである。


 実際に二日かかり北門の前の関所でも少し時間を取られたため、フレイに入るのは次の日を待たねばならなかったのである。



 フレイについてすぐ、『ウィーゼル』の用事が入り、皆でサリーネの誠神殿に寄った。


 試練があると構えていた『ウィーゼル』はそれが杞憂きゆうだと知らされることになった。


 ここまで来ることが試練だったという事であった。


「つい何かあるのかと考えてしまう癖を治さんといかんな」とは『ウィーゼル』の弁であり、宿代は宣言通り払うということを皆と話していた。



 次は宿を決めることだった。


 各門に大きい宿があり都市の中心に城がそびえ立つここフレイでは一日で各門の間を通り抜けられないほど広いという事もあり、中央に近い南東側にある大きい宿屋に宿泊しようという事でフレイ一大きいといううたい文句のモンド商会のフレイ一号店に泊まることになった。


 とりあえず、私も情報収集をせねばならず、荷物で必要なものを持って行こうとしたが止められた。


 理由は「今日はもう遅くにしか行けないから、明日行って来たら?」という『セリア』の一言だった。


 比較的近いといってもフレイの冒険者ギルドはとても大きいので一日では情報は聞けないと思うとのことだった。



 それには納得したので夕食からゆっくりとしようと思い、久しく着てなかった。ドレスを出すことにした。


 とはいえカラフルなドレスでは無いのでどうしようかと考えていると、『セリア』は「どうせならドレスも新調したら?」といったのであった。


 純白に近い色合いのドレスではあるので、今日はこのままにするとしたが不思議と折り目などは残っておらずそのまま着れることが分かったのでそのドレスにすることとした。


 今回もロイヤルスイートクラスではあったが部屋の中で二部屋に分かれているタイプのツインダブルロイヤルスイートというクラスとなっていた。


 一泊いくらなのか一瞬考えてしまうが、四人で二プラナという事であったので一人あたりは五十ゴルトという事であり、最近の私のお財布で余裕でカバーできるということが分かったのであった。


 因みに噂の方はここフレイにもすでに伝わっており、関所でも注目されていたのは記憶に新しい。


 流石に王都で悪魔やそういったモノは出なかった。


 シャンと堂々としていれば文句も出ないという事がよく分かったのであった。



 夕食にフルコースも出たが質はどこもあまり変わりないということが分かったくらいであった。


 使っている材料が少々違うかな、程度であったのである。


 ベッドに関しても同じことがいえた。


 確かにフカフカではあるが香りが違うくらいで、そんなに差が無いということが分かるのであった。


 次の日の朝食も基本的な構成はあまり変わらず、目新しいものは無かったのであった。



第五章 第九節へ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る