第二節:王位とは
ファルト城塞都市では、私たちが入る前に盗掘師の情報がベータから入っていたため、各大門のところで検問をかなり厳重に行っていた。
そのため皆、冒険者証を提示しなければならず、皆のランクがバレたのであった、私のランクを見せた時、衛兵の反応が一部の反応がおかしかった「白き伝説の乙女……」とそういったのであった。
こちらとしては「どうしましたか?」と、した
ベータの時よりも少数だが下位の魔物が、ファルト城塞都市を遠くから監視するようなそぶりを見せていたため、このような反応になったのかもしれない。
よって、ファルト城塞都市とシャルの間も通行止めになっていたのはいうまでもなかった。
シャルの北側には下位どころか、中位の魔物が出て来ているという情報が伝わって来ていたからであった。
「コレは城塞都市で足止めですかね?」とは私の発言であった。
「この前はうまく蹴散らせたからいいようなもんの、今度ばかりはそう甘くはいくまい」という『ゲルハート』の発言もあって。
「これは少し様子見ね……」という『セリア』の発言も合わさって。
「仕方ねえな、俺ばかりが無理をしたってどうにもなるようなもんじゃねえからな。今回は大人しくしておくかのう、上級宿の高級部屋ツイン四泊と
今回は長い泊りを予測させたが、運命はそう甘くはなかったのであった。
それが、分かるのは少し時を置いてからであって、今は上級宿に馬車を停め、チェックインの最中であった。
チェックインの際はパーティーリーダの冒険者証を見せるのが通説なわけだが、今回は全員分見せなくてはならなくなりまして、というカウンターの対応があったわけであった。
特に何も、警戒はしていなかったので、そのままパーティー全員が冒険者証を見せ問題ないことを示すと「上級宿マクナマライン商会側としても問題ありません、高位のパーティーご一行をお迎え出来て光栄に思います」といわれてしまったくらいであった。
『セリア』はここでも長風呂となり、「先に部屋に上がりますね」という私のいつもの会話がなされたくらいであった。
いつもと違ったのはそこからであった、男性部屋の扉前に衛兵と思われる者の姿を確認したからであった。
私の入る女性部屋の前には誰も居なかったためそのまま部屋に入ったわけではあるが、特に問題は無かった。
『セリア』が上がってきていった、「何か
「まあいつものことですし」と私は流したわけだが、実のところ衛兵が何の用があるのだろう? という疑問でいっぱいだった。
そして夕食の時間がやって来た「今日は白のドレスでは無いんだな」と『ウィーゼル』がいった、「『セリア』はいつも通り紅のドレスか」と少々遅れ気味でやって来た『ゲルハート』がいった。
「もう前菜は済んじゃいましたよ? お二人のは凍って無いと良いんですけれども」と私が突いた。
「こりゃいかんな」と『ウィーゼル』が席に着いた、本日は『ウィーゼル』側に給仕が付いて居た。
「で、何かあったの?」と『セリア』はジト目と態度で示した。
「ここではなんなんで、後で俺らの部屋でいいかな?」とちょっとなーといった雰囲気の『ウィーゼル』が居た。
「つまり厄介ごとなんですね?」と、鋭く突っ込みを入れた私が居たわけであった。
「メインディッシュ一が冷めてしまいますわ」と、冷静に突っ込みを入れギタレス種の大型牛のフィレ肉を豪快に食べる私が居た。
メインディッシュ二は冷めても大丈夫なものであったので問題はなかった、スモークカルラサーモンの片側であった。
骨は綺麗に取られており特に小骨に問題は無かった。
デザートはエッシャレオンのブロックであった。
量も
「食後のカウフィーは部屋で」と『ウィーゼル』と『ゲルハート』が席を立ってしまったので、女性陣は仕方なく男性陣の部屋に行くことになった。
その代わりに物量の大きい樽型マグカップで出て来たため『セリア』は上機嫌であった。
私には同じ樽型マグカップにエッシャレオンを詰め込めるだけ詰め込んだものが用意されており、何かあるのか? と私は勘繰ってしまっていた。
それを見て「流石にバレとるか」といった『ウィーゼル』が居た。
「そりゃそれだけ詰めれば、いくら『ウィオラ』でも分かるぞ、俺にも何かあると分かるからな」と『ゲルハート』が『ウィーゼル』に突っ込んだ。
「どう切り出したもんかな? 平たく言えばこの国の王位継承権第二位の方が俺たちを直衛にしたいと言っておってな。明後日までにはシャルに着きたいと言われておるそうなんじゃ」と『ウィーゼル』がいった。
「つまりファルト城塞都市までは、少数の衛兵としか来てなくて俺らを直にご指名したってことか」と『ゲルハート』が読んだ。
「まさしくその通りでな、回答は今晩零時までと定められとるんじゃ。逆らうと王権でバッサリやられる可能性があってな。パーティーと話したいと言って時間は稼いであるんだが」と『ウィーゼル』がいった。
「時間稼いでもそれでは、どちらにしろ受けなければ死罪か刑務所行きってところではありませんか!
「この国の王位継承権持ちはみんな
「なら逆に有効利用しましょう。みんな! 派手なの着て、王位が何だって言うのですか、今回はただの引き立て役代わりにしましょう」と私がいった。
「地味なのなんて着てられますかっ!」というと私が衛兵の着衣を引き裂いた。
『ゲルハート』が扉に漆黒の大剣を半ばまでブッコんだそして「俺らのやり方で行かせてもらう。口出しは無しだ! でなければ、お前ら全員ヴェルゼニア王国と渡り合ってもらうぞ素手でな!!」といった。
「『ウィーゼル』、馬を三頭、気立てのいい軍馬を調達してくれ」というと『ゲルハート』が九十ゴルト金貨を積んだ。
「分かった今から動こう! 急ぎじゃからな、王権でも吹かしてやるさ!」というとその九十ゴルト金貨を持つと城塞都市軍司令部に突撃した。
そして『ウィーゼル』は立派な白馬・黒馬・栗毛の馬の三頭を連れて来たのであった。
「みな馬には乗れるな?」と『ゲルハート』が私たちに聞いた。
「一般教養ですよ?」と答える私。
「それくらいなら、でも念のため
そして朝の出立に向けて早めに寝るのと、早めの朝食を頼んだのであった。
第五章 第三節へ
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