第二十節:ファラ神殿

◆ 俺『ウィーゼル』視点


 俺は走った、丘の上まで直ぐにつくかと思いきやそうではなかった。


 中途にある広場は悪魔や魔物の巣窟そうくつと化しているのだ、これらすべてが元村人だったと思うとやり切れなかった。



◆ 私『ウィオラ』視点


 『ウィーゼル』から遅れること五秒、私もあまりの有象無象の悪魔や魔物の数に若干引き気味で、仕掛けて来る奴のみに絞り容赦ようしゃなく首を狙って斬り潰していった。


 それで沈黙ちんもくする者はいいが動きを止めないで襲いかかって来るものには問答無用で頭と思しき場所を斬り潰すのであった。


「『ウィーゼル』支援します突っ込んでください。貴方の成すべきことを!」と『ウィーゼル』に追いついた私がいった。


「分かった。そうさせてもらう!」と『ウィーゼル』が答えた。



◆ 俺『ウィーゼル』視点


 そして俺はまた走り出すのであった、そうこうしているうちに、神殿前まで辿たどり着いた。


神の金槌ゴッドハンマー!」と叫び漆黒で悪魔文様で飾られた扉を粉微塵こなみじんに吹き飛ばす。


「お前か、村人を悪魔や魔族に変えたのは!!」と黒い漆黒のローブをまとい黒く塗られた山羊の仮面をかぶった者がいった「それくらいのことで怒るなんてファラ様にしかられてしまいますよ。むしろもっと沢山成せと怒られてしまいますよ」と、すでに人の気配を纏ってないやつが、そういった。



◆ 私『ウィオラ』視点


「そいつはすでに人ではありません! 周囲に異界が降りています気を付けて」と破砕はさいされた扉を真ん中に『ウィーゼル』と背中を合わせた私がいった。


「おう! ならばこれでも喰らえっ神の領域!」と『ウィーゼル』が叫んだ!


“ピギッ!!”と異界の壊れる音がする。


「なんてことをファラ様がお怒りになる! どうか私めにももっと力を!」というとソイツも異形に転じたのであった。


 外で私は大型三匹とやり合っている最中であった。


 流石大型、息切れもしなければ連携攻撃もうまい。


 と感心している場合では無いな、こちらも手詰まりか。


天使の休息エンジェルブレスト! 限界増幅リミット・アンプリフィケイション!」と二重で術がかかった。


 即座に回復するスタミナと精神力。


神の領域二エリアオブゴッドツー!! 異端審問インクイゼイション! やはり元凶はお前か! 幻痛ファントムペイン!」と立て続けに術をぶっぱなす『ウィーゼル』の声が聞こえた。


 私も術のお返しをせねばと「異界変貌解呪ストレンジワールドディスガイズカース!」と敵のそいつをレイダーで捉えて術をかけた。


 即座のにそいつの異形変貌が解けただの女に変わる。


「え、なんでそんな、ファラ様……イタイッイタイイタイイタイ」と焦りうろたえ、幻痛の痛みに耐えられず転げまわる女が居た。


 後は「異界の手達アナザーハンズ!」と正面三体とレイダーで捉えた女を異界の手で拘束した。


 神の領域二で村全体が範囲に含まれたため、悪魔化、異形化している者たちは元に戻った、死んだものを除いて。


 神殿も元のサリーネ神殿に戻ったのである。

 それを見届けると、「後はお任せします」剣を解放し、皆の場所へ戻った。


 村長のむくろは人に戻らずそのままだった。


 村長婦人にことのあらましを『セリア』が話しているうちに私は戻ってきたのであった。


「『ウィーゼル』は?」と『ゲルハート』から聞かれたので、「あと始末です、もう少ししたら、戻られるでしょう」と答えた。




◆ 俺『ウィーゼル』視点


 俺は準司祭にサリーネの神闘士であることを伝え、「次の司祭は沙汰さたがあるまで貴方になります」ということを伝え、元司祭の女を縛り上げると「地下牢に入れておけ」といったのであった。




◆ 私『ウィオラ』視点


「流石に疲れました。少し休みます」とだけ二人に伝えると馬車の中で寝息を立て始めたのであった。


「遂に俺らのランクも詰んだな」と『セリア』に『ゲルハート』はいった。


「何にもしてないから上がって無いわよ?」と『セリア』がいった。


「何だって。俺二十だぜ、多分『ウィーゼル』も同じじゃないかな? 『ウィオラ』は幾つになったのかは聞かないと分からないが高位に踏み込んだんじゃないのか?」と『ゲルハート』はいったのであった。



◆ 俺『ウィーゼル』視点


 少し時間が経って俺は戻ってきた。


 ランクは『ゲルハート』と同じ二十になっていた。


「『ウィオラ』は?」と俺は聞いた。


「馬車の中で寝てるぞ。大分お疲れのようだった見たいだが」と『ゲルハート』はいった。


「俺も疲れた、寝てもいいか?」というと村長婦人がやってきて、「なぜこんなことに……」と、ことの一部始終いちぶしじゅうの話を始めてくれたため俺の休憩時間は無くなったのであった。


 そのまま俺の指揮のもと、元村長の亡骸なきがらや死んだ者を天に返す儀式をり行ったため、俺は完全に寝る時間まで失ったのであった。


 有闇せまる時間だったため、村長宅で一泊するという許可が村長婦人から伝えられたので無事? 休息を得たのであった。



◆ 私『ウィオラ』視点


 私はそのまま馬車の中で寝ていて、危険を察知するのが早かったため異常に気付き、馬車の外に出ると宙に浮いた簀巻すまき状態の血だらけの女とおぼしきモノがこちらに向かってきていたため、馬車の護衛を一人する羽目になっていた。


高速行動ブーステッドアクション! 全開駆動フルドライブ! 魔法打撃マジカルブロウ!」と立て続けに魔法を放つが牽制けんせい程度にしかなっていないので大技を放つことにした。


 幸い対象は、呪いの言葉を吐き続けておりそれ以外の行動が取れないようだった。


 私に気が付くと「お前さえいなければ!」と空中から一直線にこちらに向かって落ちて来たため、大技の前提条件が成り立ったのであった。


「ギガスマッシャー!」と、空と対象目掛けて撃ったのである。


 流石にこれは回避しようがなく血だらけの対象は今度こそちり一つ残さず消し飛んだのであった。


 フィードバックも激しいものであるためこちらも力をかなり持っていかれ、またもや馬車によじ登り、馬車の同じ位置で寝るということをしなければならなかったのである。


 寝る前に、最後の力を振り絞ってランクを確認すると、二十二まで上がっていたのであった。




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