第十九節:暗黒信者
一行はスタレタ市街を抜けマーティン村に向かうルートに乗った、新街道とはいっても今までのヴェルゼニア王国のルートよりも若干狭いため行き交うのはちょっと慣れが必要かと思われた。
フレイニア王国が未だ未発達な証拠であるともいえた。
フレイニア王国は創建年こそ古いものの、国土がソコソコ広い割に地方への力が弱い王国の代表格であり、同時期に建国されたヴェルゼニア王国の半分以下にも及ぶ広範囲に渡って道が整備されていないのである。
国には交通が基本としているヴェルゼニア王国とは対照的であった。
新街道は歩行者と馬車が分かれて交通できるようになっている他、おおむねの大体の場所にキャンプを設営できるところがあるというのもフレイニア王国ならではであった。
そして各都市の大門の前に、門前町のようなものはあるがヴェルゼニア王国とは比較できない、あばら家が並ぶ仮の街といったところも多いのであった。
さらには門前街と名の付く、広場のようなものまであるらしかった。
しかし、これから向かうのは村であり、そのようなものは一切なさそうではあった。
マーティン村は新街道を通すために、新たに作られた村らしく、比較的新しい建物が立ち並ぶと聞く。
そういう意味では期待の出来る村だったのかもしれない。
しかし行ってみるとそうではなかった。
村は白いカラーで塗りつぶされたような村だと聞いていたが、「こりゃひでえ」と『ゲルハート』がいった。
「ここまで来ると暗黒神の信者の街のようだな」と『ウィーゼル』も同意した。
白ではなくあちらこちらが黒色の
まるで暗黒神でも降臨したかのような色だった。
そして、馬車の中で宿泊を申し出るべく村長のうちに行った時であった、村長も黒色のローブを着て出て来たのであった。
白い馬車と白い装束の私を見るなり「白はいかん黒にしなさい!」と勝手に叫んで、村長が黒い塗料で塗りつぶそうとやって来た時、馬車の中から漆黒の大剣が村長の首元目掛けて振り下ろされ寸止めで首に当てられた。
「色は人の好き勝手だろう! お前が決めるもんじゃない! 何か手出しすればお前の首は吹き飛ぶ!」とドス効いた大きな声で『ゲルハート』が叫んだ。
「漆黒の剣士様どうか皆の服を黒に変えてくださいませ、どうか、どうか!」と村長がいって来た時だった。
「貴様暗黒神に毒されておるな! そうでないと黒に塗りつぶすなんてことはあり得ない。そうであろう」と『ウィーゼル』が村長に掴みかかって吊るしあげてしまう。
「ひいい、ファラ様おたすけくださいませ!」と『ウィーゼル』に吊るしあげられた村長が悪魔の神の名を叫んだ。
直後、『ウィーゼル』と村長の周り十数体の悪魔が降臨した。
「手加減無用!」と叫ぶなり「
村長を吊るしあげたままの『ウィーゼル』は「見るがいい、悪魔信仰に溺れた者の末路を!
他の村人たちがいった「
それでも村長はまだ叫んだ「ファラ様どうかこの私をお導きください」と、直後下位と思われる
変化する瞬間に村長を離し五メートルほど後退した『ウィーゼル』が「村の者の中に悪魔神官が居る。吊るしあげよ!」と叫んだ。
村長と『ウィーゼル』の合間に私と『ゲルハート』が走り込んで行った。
互いに目を合わせ、先に『ゲルハート』が走り込んだ。
大きく膨れ上がり
『セリア』は『ゲルハート』が斬る直前に魔力増幅を漆黒の剣にかけていた。
その間に私は刀を納刀し、両手の素手に輝く光の玉を握り込み剣をイメージした。
私の両手に魔力剣創出と
直後『ゲルハート』が村長の胴を薙ぎ左に抜けた「ゴヴザアッ!!!」と叫ぶ村長が居た。
それはすでに魔物に
ヒトの言葉を話せない、それが変貌の証拠であった。
まだこっちを見ている村長だった者が居た。
「人ならざる者よ地に変えるがいい!
まず首、両肩、胴、腰、両足の順で紫色の線が多数引かれそれぞれの部位が崩れ落ちて行った。
後に残った物は、人以外に変貌した者の塊であった。
『ウィーゼル』が丘の上にファラの神殿を見つけたようだった。
『ウィーゼル』が走った、「『ゲルハート』、『セリア』の護衛を!」と私がいうとそのまま『ウィーゼル』の後を追いかけた雷を帯びた白刃二本を維持させたまま。
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