第十六節:敵討ち
「それにしてもよく目で見ずに戦えたわよね?」とはセリアの一言ではある。
「そういう修行をしてきましたから」とは私の答えだ。
あの後皆でランク確認をしたところ全員トップは十七ランクになっていた。
「フレイまでまだ数週間あるのよ?」とは『セリア』の弁であるが、「強いやつばっかり群れて来るんだから仕方ないだろう?」という『ゲルハート』の弁に負けてしまっていた事実であるので仕方がない。
「フレイまでに高位ランクになって無いじゃろうな?」とは『ウィーゼル』の弁であったが、誰にもそれには答えられず、流されてしまった。
「フレイに行く道なんだが、新街道を行かないか?旧街道のほうが近いんだが色々と悪い噂が立っててな。スタレタの旧街道には幽霊が出るとか、旧街道の途中の村ソコツはあまりいい噂が無いとかあってな」と『ゲルハート』が新街道で行く案を提案した。
「綺麗な道の方が良さそうな気はしますね」とはいったが、出るものは出るんじゃないかなと思っていたのでそこからは特に何もいわなかった。
実は
すでに古都を管理する衛兵からは知られており、この噂どこまで広がるのかなあ? と考慮しなければいけないことも多くなるんじゃないかなと思っていたのであった。
「今まだレナウンに居るから、スタレタ、マーティン、ベータ、ファルト、シャル、ミトス、フレイの順よね。スタレタまでが馬車の足で四日、スタレタからマーティンまでが馬車の足で三日半、マーティンからベータまでが同じく三日半、でベータとファルトの間が馬車足で二日と少々、ファルトとシャルの間が二日くらい、シャルとミトスの間も二日くらいで大きな検問所があってミトスに入って一日とミトスからフレイまでが三日かかるって寸法でしょう? あと泊りを考えると一ヵ月少々でフレイよ」と『セリア』はギルド発行の地図を見ながらいった。
「一ヵ月かあ高位に乗る方に一票」と『セリア』は静かにいった。
それは暗にこの先何があってもおかしくないといっているのと同じであった。
しかしながら否定できないのも事実である。
名が上がり有名になると
それに悪魔の側でも手配されてしまっていることであろうから、余計に襲撃が多く派生するものと考えても良かったのである。
何せこのレナウン街主の執事ルツは、あの後一度も姿を見て無いからでもあったりする。
スタレタまで何事もないといいなあと思いながら馬車を進めて二日目にそれは発生した、唐突に「かたき討ちを申し出る」といいながら馬車の前に現れた魔族が居たのだ。
流石に街道上でやり合うわけにはいかないので、馬車を路肩に止めると休んでいる『セリア』以外は皆出た。とはいってもかたき討ちの対象はどうやら私らしく他の者に用がないの一点張りだったのである。
話の流れを聞いているとレナウン街主の兄弟子らしかった。
『セリア』を『ゲルハート』に任せると『ウィーゼル』が立会人になった。
ソイツが部下を一切連れて来なかったからである。
私は
相手は「素手だと!」と激高したが、事実なので仕方があるまい。
私は「闘い終わった後は各自で回収員を連れていること」と勝手に条件を付けた。
そして「
「甘ちゃんだったのは俺の方のようだな」と大人しく負けを認めたので「降参するなら命は取らん」といったが、「ヤルことには変わりはない。負けたとしてもそれは俺の甘さから出たものだ」と悪魔がいい切ったため勝負と相成った。
結論からいおう、悪魔は
そして私のランクだけ十八に上がったのである。
魔導剣士、闘士、異界術師がランク十八になったのであった。
「何も向かってくることが、無ければ死にはしなかったものの」と
そこから先は特に何事もなくスタレタまでには辿り着いた。
ただ皆一様に街の雰囲気に、何か混じっているような感じがしておかしいということが分った。
宿屋は普通だったため聞くと、「皆外にいる時は周りで何が起こっていても無視しているようになってしまったんです」といった、ここ数日のことらしかった。
何かが起きているのは確かではあったが、何が起きているのかわからなかった。
第四章 第十七節へ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます