第68話 水着の紐がほどけていますよ!

 さあ、これからは待望の湖水浴だ。

 ラウンジに居たクロードさんに声を掛け部屋に戻って準備をする。

 そして待ち合わせ場所の湖畔のコテージまで移動だ。

 湖畔までは丘を下ってすぐなので、待ち合わせ場所の借りたコテージもすぐに見つかった。

 ゼルトさん達は既に到着していて後からやってきた俺達を見つけて手を振っている。

 借りたコテージは湖のすぐ近くで、建物は結構大きくバルコニー部分も大きく取られてあり、前後にデッキチェアを置けば10人は座って寛げる程の広さだ。

 庭もそこそこ広くて石作りのかまどもある。


「このコテージを明日いっぱいまで借りてあるからな。夕食はこっちで食べる予定だ。酒を飲んで宿に帰れなくなっても大丈夫だぞ! ガハハ!」


「なら、ゼルトが一番心配だな」


「「「「「あはははは!」」」」」


 トランさんの指摘に皆が大笑いだ。


「着替えの部屋は男女別に用意してある。泳ぎに行くならそこで水着に着替えてくれ」


 アーノルドさんとシルベスタさんは既に着替えを済ませて湖で待ってるそうだ。

 俺はクロードさん、ゼルトさん、トランさんと一緒に水着に着替える。

 この前買ったハーフパンツタイプの水着に着替えて周りを見ると。

 クロードさんは俺と同じタイプの黒色の水着だ。トランさんは短パンタイプの赤色。

 ゼルトさんは…まさかのビキニタイプ。スキンヘッドでムキムキの筋肉にビキニの水着ときたか!

 男連中は着替えも早いので、女性たちよりも先に着替えを済ましてバルコニーのところで女性たちを待つ事にした。


「ん?」


 ふと、湖の方を見ると筋肉ムキムキの二人の男がボディービルダーのようなポージングを決めてるんだが!? あれって、どう見てもアーノルドさんとシルベスタさんだよな。しかもゼルトさんと同じでビキニタイプの水着だし…汗


「みんな、待たせたかい?」


 後ろからリーザさんの声がしたので女性陣も着替え終わったらしい。

 振り向いてみたら………


 リーザさんの黒のビキニ水着の面積が小さいんですけど!

 そして、リーザさんの後ろからおずおずとソフィアとエミリアさんも歩いてくる。


 うぉっ! 二人ともビキニだ。ソフィアはピンクのビキニ。エミリアさんは薄い水色のビキニだ。スラッとした身体と長い手足、そして透き通るような白い肌にビキニ姿がよく似合ってる。あのビキニの下にソフィアはツンと上向きで、エミリアさんは丸くて綺麗なおっぱいがあるんだな。


 ポーラさんは上は普段着のままで下は短パンのようだ。


 ソフィアとエミリアさんが俺の方に駆け寄ってくる。


「ねえ、フミト。どうかしら?」

「フミト…さん。私はどうですか?」


「二人とも綺麗だよ。水着も凄く似合ってる」


「「やったー!」」


 俺がそう言うと二人は嬉しそうにその場で跳ね回る。


「じゃあ、泳ぎに行きましょ!」


 ソフィアとエミリアさんの二人に手を取られ、湖に向けて走っていく。


 あれ? 何か俺って青春してないか?


 駆け出した勢いで水の中に入っていく。

 水しぶきが上がって身体にかかる!


「温かい!」


「温かいね」

「温かいです」


 噂通りに温水の湖だった! 俺とソフィア達はお互いに水をかけてはしゃぐ。

 水しぶきが太陽の光に反射してキラキラして眩しい。

 そしてソフィアとエミリアさんの水着姿も眩しかった。


 暫くはしゃいだ後、俺は泳いでみる事にした。


 泳ぐなんて久しぶりだけど上手く泳げるかな?


 スイーっと平泳ぎ。おーいけるいける。調子に乗って泳ぎ回る。


「ちょっとフミト待ってよ」

「待ってください」


 その場で立ってみると、水深は1.4メートルくらいかな。

 ソフィアとエミリアさんがようやく俺に追いついたと思ったら抱きついてきた。


「溺れちゃうよー」

「溺れるかもしれません」


 いやいや、まだこの水深なら足が着くでしょ!

 水が透き通ってるから見えるけど二人ともしっかり足が着いてるじゃん。

 全く世話の焼ける二人だなと苦笑しながらも、二人を抱きかかえてあげる俺も結構なお人好しだな。


 しかし、二人ともウエストは細いしスタイルがいいよな。おっぱいはしっかり出てるし、お尻はキュッと引き締まっている。エルフって皆こうなのかな?


 まあ、いつまでも抱きつかせてる訳にはいかないので、岸の方へ少し歩いていき水深が浅くなったところで二人を開放する。


「えー、もう少しこうしていたかったのに」

「私もです」


 いや、意味わかんねーよ。溺れるって言うから足がしっかり着く水深の浅いところに連れてきてやったのにさ。どうしてそうなるんだよ?


「ここらへんなら余裕で底に足が着くし、俺達はここ周辺で泳ごう」


 皆、それぞれの泳ぎ方で泳ぎだす。俺は背泳ぎだ。

 上を見上げながら泳ぐと、晴れた空にぽっかりと雲が浮かんでる。

 どこまでも続く空は俺達を見守ってくれて太陽の暖かい陽射しが降り注いでる。


 ふと、横を見るとクロードさんとトランさんが二人で競争してるかのように沖に向けて水しぶきを上げながら泳いでいた。


 二人とも速えぇえ!


 クロードさんは全然ダンディーな泳ぎ方じゃないし、トランさんって魔法職でおっさんなのにどこからあの速さが出てくるんだよ。

 でも、たまに居る。見かけは普通のおっさんだが何かしらに秀でてる凄い人ってさ。


 適当に泳いでいたらリーザさんが俺の近くにやってきた。


「おーい、フミトー!」


「リーザさんも泳ぎにきたんですか?」


「ああ、皆が泳いでる姿を見たらあたしも泳ぎたくなってさ。なあ、フミトあたしと競争してみるか? もちろんスキル無しで」


「別に構わないですけど?」


「あたしはあまり深いところには行きたくないから岸に向かって競争しよう」


「いいですよ、じゃあコテージの前の岸をゴールにしましょうか。最後は立って走って岸に先に上がった方が勝ちにしましょう」


 コテージの方角を見てゴール地点を確認する。

 今はコテージ周辺には誰も居ないみたいだな。

 ポーラさんは建物の中で休んでるのかもな…

 ゼルトさんは向こうの方でアーノルドさんやシルベスタさんと、ボディービルダーみたいなポージングをお互いに見せ合いながら何やら話し込んでるよ。


 ポージング談義で意気投合とか俺には理解出来ない世界だけどね…汗


「じゃあ、よーいドン! でスタートしましょう」


「わかったよ、フミト。いつでも大丈夫だ」


『よーいドン!』


 スタートの合図と共に俺はクロールで全力で泳ぎだす!

 息継ぎの時に横をチラッと見るとリーザさんもクロールで泳ぎだした。

 泳ぎは力だけあっても上手く進まない。手と腕の効率的な水かきと足のキックで水を捉えてどれだけ抵抗少なく泳ぐかがポイントだ。

 だが、リーザさんも俺に勝負を挑んできただけあって自信があったのだろう。水をかく動作がスムーズで力強い。


 例え相手がリーザさんでも、ここは男として負ける訳にはいかない!


 俺は必死に水をかいて岸に向かって進む。

 リーザさんも負けじと食らいついてくる。

 一進一退の攻防が続くが、微妙に俺の方が前にいる気がする。


 うぉおおおおおお!


 力を振り絞ってラストスパートだ!

 水深が泳げないほど浅くなり、立ち上がって岸まで走っていく!

 少し遅れてリーザさんが続いてくる。


『ゴォーーーーーーーール!』


 僅かの差で俺が勝利した。

 これは歴史に残る名勝負だったかもしれないな(俺調べ)

 横で悔しがるリーザさん。でもマジでリーザさんも速かったな。


 そんな中………何か違和感が………


 ちょっ! リーザさんいつの間にかビキニのブラの紐がほどけて胸が丸出しになって大きなおっぱいと先端の二つのポッチが丸見えだぞ!

 確かに色はピンクを卒業しているが、少し固そうなポッチが大きなおっぱいの真ん中にあり、つい目が釘付けになってしまう。


「リーザさん、胸!胸! ポッチが丸見えですよ」


「ん? どうかしたかフミト?」


「どうしたも何も、水着の紐がほどけていますよ!」


 俺の言葉に最初はキョトンとしていたリーザさんだが、ようやくビキニのブラの紐がほどけているのに気がついて胸を手で隠した。


「泳いでる途中で紐がほどけてしまったんじゃないですか?」


「あー、そうかもしれない。あたし泳いでる間は無我夢中だったから気がつかなかったよ。まあ、胸を見られたのがフミトだからあたし的には問題ないぞ!」


 俺はリーザさんの後ろに回りサッと紐を結び直してあげた。

 もうちょっと見ていたかったという気持ちもあったがここはグッと我慢だ。

 こんなとこ他人に見られるのも何かとマズそうだしね…汗


 最後にハプニングはあったものの、俺とリーザさんの水泳の競争は俺の勝利で幕を閉じたのだった。

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