ダリム迷宮編
第46話 いざ迷宮へ
夜が明けた。
今日はソフィアと約束してたダリム迷宮に行く予定だ。
装備を整えて宿を出てソフィアの屋敷に向かう。
ソフィアの屋敷に着くと花へ水やりをしていたエミリアさんが取り次いでくれてソフィアが屋敷の中から出てきた。
「フミトお待たせ!」
「ああ、じゃあ一旦冒険者ギルドに行こう。俺のパーティー登録とついでの依頼があれば受けておきたいからね」
「わかったわ」
俺とソフィアは連れ立って冒険者ギルドに向かい歩いていく。
元の世界ならこれからデートに向かう若いカップルに見えるかもしれないが、現実はこれから魔物達がひしめく迷宮に向かうところです…はい。
冒険者ギルドに到着してまずは依頼書が貼られている掲示板の確認だ。
迷宮関連でCランクの良さそうな依頼がないか探す。
迷宮の21~30階層に出現するフレイムタイガーの素材依頼があるな。
これにしよう。
そしてもう一つは俺のパーティー登録だ。
ソフィアはクロードさんとエミリアさんとパーティー登録をしていてそれに俺が加入する形になる。
ジーナさんの一般受付の列に並び順番を待つ。
「はい、次の方どうぞ」
「すみません、この依頼を受けたいのですが。それとパーティー登録をお願いします。こちらに居るソフィアのパーティーに俺が加入したいので」
そう言って、俺とソフィアのギルドカードも出す。
「フミトさん、おはようございます。依頼はCランクのフレイムタイガーの素材依頼で間違いないですね」
「ええ、お願いします」
「次にパーティーへの加入登録ですね。ソフィアさんのパーティーに加入したいと…ちょっと待ってくださいね。えーと、Aランク冒険者のクロードさんがリーダーのパーティーですね。今処理しますので少しお待ち下さい」
後ろの器具で操作が終わったジーナさんが戻ってくる。
「フミトさんのパーティー加入手続き、及びCランク依頼の受付が完了しました。では頑張ってきてください」
俺とソフィアはギルドカードを返して貰い、依頼書を受け取り冒険者ギルドを後にする。
「えへへ…フミトもあたしと同じパーティーの仲間だね」
「ああ、そうだな。よろしくなソフィア」
お互いの拳と拳を軽く当てて挨拶をする。
「Cランクの依頼は受けたけどまだ期間に余裕がある。俺が迷宮に慣れながらソフィア達が既に到達してる30階層の転移魔法陣に登録するまでが俺の仕事だな」
「そうね、フミトの実力なら油断しなければすぐに行けると思うわ」
俺とソフィアは迷宮に向かう為、北門目指して歩いていく。
手続きをして北門を出るとすぐそこに迷宮への入口があった。
洞窟のような穴が開いていて、入り口は石組みで補強されている。
入り口の横の地面には魔法陣が描かれている。
「これが例の魔法陣なのかい?」
「うん、この上に立って既に登録済みの行きたい階層を念じるとそこの階層の魔法陣に転移出来るの。今回は迷宮初心者のフミトがいるからあたしも1階層から付き合ってあげるね」
「付き合ってもらってありがとう。感謝してるよ」
とりあえず、今日の目標は10階層ってとこかな。
ここらへんはレベルの低い魔物が多いからサクサクと進んでしまおう。
入り口に立っている衛兵に挨拶して迷宮の中に第一歩を踏み入れる。
入った瞬間に気圧が変化するような感覚がした。
中はちょっとしたエントランスみたいになっている。
そしてその先に下へ降りる階段が見えている。
「こっちよ、着いてきてフミト」
「ソフィア先輩よろしく!」
「もう、何言ってんのよ!」
二人で階段を足早に降りていく。
暫くすると1階層に到着だ。
周りは岩壁、地面は普通の土、道は広く歩きやすそうだ。
岩壁がほんのり明るく光ってるので視界も大丈夫だ。
すると俺のマルチマップが1階層のマップを即座に表示する。
今や俺のマルチマップは広大な面積を表示出来るようになっている。
下へ降りる階段の場所も表示済みだ。
「ここらへんは初心者向けのスライムやラットが出てくるわ」
「了解、ほとんど無視して邪魔なやつだけ倒して放置していこう。あと、俺のスキルでこの階層のマッピングが完了してるから、出来るだけ魔物が少ない近道を行こう」
「フミトのスキルは凄いのね。ならお任せするわフミト」
「よし、こっちだ!」
俺を先頭に二人して飛ぶように駆けていく。
俺は剣を片手に持ち、ソフィアは左右長さ違いのダガーを両手に持っている。
途中で見つけた魔物は無視するか先頭の俺が斬り捨て放置だ。すぐに場を離れるのでトレインにもならない。
「ソフィア、この速度で大丈夫か?」
「大丈夫よ、心配しないで」
俺達はおよそ30分位で1階層を走破した。
「迷宮内部の地図がわかるって凄いアドバンテージね。あっという間だったわ」
「ああ、この恩恵も神様からの頂き物だけどな」
2階層へ降りる階段を見つけ二人して降りていく。
階段の途中にちょっとした平らな広場がある。
ソフィアの話ではここで冒険者が休憩したり食事を摂るそうだ。
下層に降りていくにつれて魔物も強くなると階層を進むのも時間がかかるので、この場所で寝泊まりするパーティーもあるんだって。
2階層に着く前に俺はある事を思い出した。
「ソフィアが腰に着けてるのはマジックバッグだよな?」
「そうよ、これは母から貰ったの」
「ちょっと待ってろ」
そう言いながら俺はアイテムボックスから拠点の木に成っていたシントウの実を200個くらい取り出す。
「この実なんだけど、HPとMPを大きく回復させる実なんだ。ソフィアにあげるからバッグに仕舞っとけよ」
「そんな実をあたしにくれるの? いいの貰っちゃって?」
「ああ、ソフィアはパーティーの大事なパートナーだからな」
「えっ? なっ! 大事なパートナーだなんて…」
何やらソフィアが顔を真赤にしてモジモジしてるけど、先へ進まなくちゃいけないのでソフィアのバッグに実を放り込む。
「ほら行くぞ!」
「もう、ちょっと待ってよ! 意地悪ね!」
こうして俺達は2階層目指して階段を降りていったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます