拠点生活と探検編

第4話 ここを生活拠点とする

 ステータス、スキル、神様から貰った装備の確認はとりあえずこんなもんか。

 とりあえず、この建物をこの世界での生活拠点としよう。


 なんてったってここの場所は神様の持ち物らしいしな! 俺はこの世界に来たばかりの宿なしなんで神様この場所を使わせてもらいますよ。


 生活拠点にする為には建物と周囲の情報を知るのが必要不可欠だ。

 住むのに何がどこにあって周囲の状況がどうなのかわからないと不安だしさ。

 見回りには念の為に装備を身に着けていく。


 一旦ブーツを脱ぎ、着ているシャツとズボンを神様から頂いたものに着替える。

 採寸もバッチリで俺の身体にぴったりフィットする。

 神様ってこういう細かいとこも完璧だな!

 ベルトを締め、さっき脱いだ革のブーツをまた履く。

 ここの建物と周囲だけだから、今は革鎧と剣とマントは置いていく。

 今まで嵌めていた腕時計は外してズボンのポケットの中に入れ、腕輪を左腕の手首に嵌めるとこれも何かの謎技術なのか自動でぴったり手首にフィットした。


 もうこれくらいじゃ驚かないぞ!


 ナイフをベルトの帯金具に差し込み建物の中をもう一度見ていく。

 装備が置かれた朗読台のような場所から建物の内部をぐるりと見渡してみる。

 本当にガランとして何もないな。

 さっき少しだけ覗いた右側の部屋に行ってみるか。


 扉を開け部屋の中に入る。

 壁に棚が備え付けてある以外はこちらもガランとしている。

 中央の広い部屋もこの部屋も全く生活臭が感じられない。

 建物はあるが、人が住んでいた形跡がないようなのだ。


「よし、この右側の棚のある部屋を俺の生活拠点にしよう」


 中央の部屋に戻り、元の世界からの持ち物ショルダーバッグとリュックを持つ。

 右側の部屋に行き棚にバッグとリュックを置く。

 他の装備も同じように右側の部屋に移し棚に置く。


 整理整頓は大事だもんな!


 俺の部屋決めをしたら外の確認だ。

 右側の部屋からも外に出られるのでこちらの扉から外へ出ていく。

 芝生が広がる敷地に足を踏み出し、ざっと周囲を眺める。


 そういえば、建物の裏側はどうなってるのかな?


 建物の裏手に回ってみる。


 何の変哲もない木が一本あるくらいで特にこれといったものはないな。


 裏手も敷地の境界まで100メートル程か。

 四角というよりも、この敷地は建物を中心に円形になってるようだ。

 敷地内は何となく厳かな雰囲気がして何かに守られているように感じるし、とても静寂な空気に包まれている。

 まず敷地の境界まで歩いていく。

 境界を超えるといきなり森になる。


 これ、どういう仕組みか知らないけど凄く面白い。


 ホイホイっと敷地の外と内を出たり入ったりしながらその奇妙さに驚く。

 そんなこんなで敷地の外周を一周してたら喉の乾きを覚えてきた。


 そういえば、この世界に来てから一度も水を飲んでない事に気がついたのだ。

 人が生きていく上で水は何よりも必要なものだしな。


 さっき確認した水筒は空だったっけ。

 まずは水場探しから始めないとどうにもならないな。


 ──困ったな、魔法がある世界ならこの手から水が出てこないもんかな。


 心の中でそう思ったら、頭の中に知識が舞い降りたような感覚がして手の平の上に大きな水の塊が出現した。

 いきなりの事で驚いて手を引っ込めると、水の塊はそのまま地面に落ちて芝生に吸い込まれた。


「もしかして、今のは水魔法?」


 疑問を口に出した俺は自分の手を見つめてみる。


 そうだ!「ステータスオープン」



 名前:フミト ウエノ

 種族:ハイヒューマン

 年齢:24

 職業:

 状態:普通


 Lv.1

 HP:216

 MP:261

 筋力:238

 魔力:282

 精神:201

 敏捷:227

 運 :862


《スキル》

 言語理解(アーク語)


《魔法》

 水魔法 Lv.1


《加護》

【アーク神の加護】


《ユニークスキル》

【神の気まぐれな力添え】



「おぉおおお! 魔法のところに水魔法が追加されてる!」


 異世界初の魔法取得は水魔法でした!


 MPを見ると1ポイント減ってる。

 俺が自分で魔法を使用した証明だな。


 心の中で念じたら水魔法が使えるようになったけど、例のユニークスキルが発動した感覚があったのでこれが【神の気まぐれな力添え】の効果なのだろうか。魔法知識の取得や訓練もせずにいきなり魔法を取得出来て使えるなんて普通では考えられないよな。


 アバウトだけど俺のユニークスキルが大活躍しそうな予感がする。


 そうだ、まず喉の乾きを潤さないと。


 さっき頭の中に入ってきた知識で心の中で《ウォーター》と手の平に向けて念じる

 すると手の平の上にさっきと同じように水の塊が出現した。

 魔法名を声を出して唱えなくても無詠唱でも魔法は発動するようだ。

 手を自分の口に近づけ、その水の塊を口に含んで飲んでみる。


「ゴクゴクゴク」


 魔法で出した水はとても旨かった。味も素っ気もない純水のようなものかと思ってたけど、魔力成分的な旨味があるのかもしれないな。


 とりあえず、非常時になっても飲み水は何とかなりそうだ。

 MPさえあれば最低限の飲み水は確保出来るだろう。


 だけど、やっぱり自然の水場の確保は必要だ。


 一先ず安心した俺は部屋に戻り、敷地の外に水場を探しに行く為に装備を身に着けることにした。


 部屋の中に入り、棚から剣と革鎧と手斧を取り出す。

 あと、水筒とマジックバッグもだ。


 革鎧は着る方法がいつの間にか頭の知識の中にあり簡単に着けられた。

 背中に剣を背負い、マジックバッグを腰に括り付ける。

 片手に手斧を持ち敷地の外の情報収集だ。


 上手く水場が見つかればいいな。あと出来れば簡単な食料も。


 野草やキノコなら食べられそうだし。


 だからといって、こちらの世界の草やキノコが元の世界と同じとは思えないのが少し心配だ。でも、背に腹は代えられないから実行あるのみだ。


 さあ、周囲の探検を始めよう!

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