3


 朝の日差しで白線が溶け出す道路に残ったのは、幼虫と蛹の色。葉が分解された胃の中身が、夜のうちに浸透していた。若く大きな幼虫の、あと一日の猶予は消えて、空は雨を降らせて泣いている。靴の革で水を貯めた変わりものの胃が、気が付けば無くなってしまったことに悲しんでいる。雨は、墓を掘ろうと降り続いていて、静かな春の日常に、堅牢な古墳を気付き上げた。一目でわかる古い慰めに、オスなのかメスなのか分からない幼虫たちが埋められる。空は雨を降らせながら、今度は古墳を均さなければならないと土に話しかけた。道路がアスファルトで敷かれても、安心して暮らせるのはこの作業のおかげだと空は考えている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る