6話 スッド村へ

ライがお茶を飲み干してから、出発はほんとに早かった。


「ほらぁー。はーやーくー。善はいーそーげーだよ!」

リンとユウが飲み干していないのをみて、ライが急かしていた。


「お前はいつも急すぎ……」


ゼンは呆れて言った。


「お、お待たせしました……。行けます!」


「お待たせしてすみません……」


リンとユウは急いで飲み終え、ライに言った。















道中、リンは思っていたことを聞いた。


「……ライさん、聞いてもいいですか?」


「あははっ!そんなにかしこまらないで!ライでいいよ。聞いていいよ!なぁーに?」


ライはあっけらかんとリンに言った。


「ありがとうございます。ライ、……いえライやゼンさん、フウさん、カミンさんみんなに聞きたいです。あなたたちもかつて討伐隊だったのですか?」


リンはおそるおそる聞いた。


「「「「……………………………」」」」


4人とも口を閉ざし、少しその場が凍った。


「…………………………」


リンは答えが知りたいので、答えるまで4人から目を離さなかった。


「そうよ。私達は20年前魔物討伐隊だった。そして、私達4人ともⅡ討伐隊だった。」


口を開いたのはフウだった。フウは遠い目をして話を続けた。


「エム討伐のとき、あなた達と同じ状況になったわ。進化したテンソ討伐に手間取って隊長と隊長補佐を先に行かせてしまったの。討伐が完了してエムがいるフロアに行ったら隊長と隊長補佐はやられていたわ………。私達4人で連携を取ってエムに挑んだんだけど、一撃も与えられず、みんなエムの攻撃を受けて、死んだと思ったわ……でも私達みんな生きてた。けど、どんなに怪我をしても再生されるの……そのときに呪いに気づいたわ。」


フウは悲しそうに言った。


「俺たちだけが生きてても、しょうがねぇ。呪いだろうがなんだろうがアイツを殺さねぇとこの呪いは解けねぇ。だったらとことん戦ってアイツをぶっ殺す!!!」


ゼンは今にでも殺しそうな目で言った。



「僕達はあなた達に会えて嬉しいです。同じ仲間が出来ましたし、それに戦力が増えましたしね。」


カミンはリン達に優しく微笑みながら言った。


「あー!カミンずるーい!私、さっき同じこと言ったのにぃー!」


ライはカミンに茶々を入れている。


「黙っててごめんなさいね。その…当時倒せなかったのが悔しくて申し訳なくてなかなか言い出せなかったの」


フウはリン達に頭を下げた。


「そんな!頭上げて下さい。倒せなかったのは僕達も一緒です。それに討伐隊だったって聞いて共通点ができて安心しました。」


ユウは頭を下げたフウに焦ったが笑顔でフウ達に言った。


「あ、ありがとう!」


フウは涙ながらに言った。


「フウさん、泣かないで下さい!次は絶対私達でアイツを倒しましょ!」


リンはフウに強く強く言った。 


「えぇ!必ず!!」


フウは改めてエムを倒すことを誓ったのだった。













「見えた。リン、ユウ。あれがスッド村だ。」


ゼンは見えたひとつの村をさしてリン達に教えた。


「あれが、スッド村……」


リンは見えた村を珍しげにみていた。

なぜなら今までみた村よりもかなり栄えていたからだ。


─バシッ


「ぼーっとしてねぇで行くぞ!!!」


ゼンはリンの頭をどついて言った。それをみていたユウはリンに「大丈夫ですか?」と言ってゼンに向けて軽い魔法を練った。


「ユウ、やめて。」


リンは慌ててにユウを止めたのであった。




















「ここだ」


村を歩いてからしばらくしてゼンたちは1件の家の前で足を止めた。


―コンコンッ


「アギー!俺だ。ゼンだ開けてくれ。」


ゼンは扉を叩いて、家の人を呼んだ。どうやらアギーって人がゼン達と同じ調査隊らしい。


「………………………………」


しかし、誰も出てこず反応がない。


「アイツっ、まさか!」


ゼンはそういうとドアを蹴破った。


「ちょっ!?いいんですか?」


ユウはびっくりしてフウに聞いた。


「あー。大丈夫ですよ。いつものことですから…」


カミンは苦笑いしながら言った。


ゼンはズカズカと1つの部屋に向かい、1人の男を見つけるとその男の背中に思いっきり踵落としをお見舞いした。


「「………………………………」」


リンとユウはびっくりしすぎて言葉も出ない。


「てめぇ!いつまで寝てやがる。起きろぉ!」


ゼンは男の耳元で怒鳴った。


「ふぁああ…。あ、ゼンおはよー。また扉壊してきたの?」


怒鳴っているゼンに動じず男はゼンに挨拶をしていたのだった。












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