3話 聞き込み

しばらく歩いていると、男の人が畑を耕していた。


「あのー!すみませーん!ちょっといいですかぁー!!」


リンは声を張り上げて畑を耕している人に声をかけた。


「………あんた達この村の人じゃないな……ここに何の用だ?」


男の人はリン達に近づき怪しげな目で睨み、ドスの聞いた声で聞いた。


「突然すみません。実は私達ヴァンパイアエムを討伐したいんです。しかし、私達には情報が足りません。この村がエムの攻撃を受けて生き残った方達がいると聞き、この村に来ました。何か知ってることがあれば教えて下さい」


リンは男の人の声に怯みそうになりながらも、男の人に聞いた。しかし…………


「アイツを倒すことを軽い気持ちで言うな!アイツのせいで苦しめられいる人を俺は散々見てきた。興味本意で聞いているなら今すぐここを立ち去れぇ!!!」


そう言うと男は持っていた鍬をリンに振りかざした。


─ザクッ












男の鍬を受け止めたのはユウだった。右肩に鍬が食い込み血が流れている。


「すみません。いくら僕達が呪いで再生されるのがわかっていても女性に血を流させたくなかったので、思わず庇ってしまいました。」


ユウはリンに優しく微笑みながら言うと、右肩に食い込んだ鍬を抜き、男に返した。


「あんた……まさか……!?」


男はユウが出血倒れていないことから、ユウも自分と同じで呪いをうけていることに気づいた。


「そのまさかです。僕もエムから呪いを受けています。そして彼女もです」


ユウはリンのことをさしたあと、右肩を男に見せた。リンも呪いを見せようとしたが、ユウに止められた。



「悪かった。ここに来てアイツの情報を聞くものはあんた達のほかにもいた。俺は情報を教えた。でも、それっきり戻ってくるものはいなかった…」


男は遠くを見ながら言った。


「情報は教える。その代わり必ず一度俺に会いに来てくれ!もう、俺のせいで誰かが死ぬのは嫌なんだ!!!」


男は声を荒げてユウとリンに言った。


ユウとリンは顔を見合わせた。そして、


「「わかりました!!アイツを倒したあと、必ずもう一度会いに来ます!」」


ユウとリンは力強く男に誓った。













「改めて聞きます。アイツについてなにか知ってることありますか?」


リンは前のめりに男に聞いた。


「俺が知ってるのは、アイツが変身することと居城が5ヶ所あること、周期によって居城を変えていることかなぁ……」


男は思い出しながらリン達に話した。


「変身って!?」


"変身"という言葉を聞き、リンはさらに前のめりになった。


「リンさん、落ち着いて……彼が戸惑ってます」


男はリンのあまりの勢いに驚いていた。


「ハッ!……。失礼しました。変身とは?」


リンは落ち着きを取り戻し、男に聞く。


「俺も詳しくはわからないが、いろんな人に変身するらしい」


男は申し訳なさそうに答えた。


「そうですか……」


リンは残念な気持ちを隠せなかった。


「あ!そういえば!」


男は急に何かを思い出した。


「なんですか!?」


リンはすかさず、男に聞いた。


「これは、最新の情報だ。この村の山の山頂にエムについて、調査している4人組がいる。いつもは調査で不在だが、昨日帰ってきたんだ。そいつらのほうが俺よりも新しい情報を知っていると思うぞ」


男は山の方をさしながら言った。


「なるほど、ユウ!行ってみよ!」


リンは新しい情報をきいてウキウキだ。


「はい!行きましょう!」


ユウはもちろん賛成だ。


「ありがとうございます!えっと………」


「コールだ」


まごまごしているリンに、男が自分の名前を言った。


「ありがとうございます!コールさん!」


リンは屈託のない笑顔で深々とお辞儀をした。


「礼なんていらねぇ。さっき約束守ってくれればそれでいい」


コールはお礼を言われることに慣れていないので、リンから目を反らして言った。






こうしてリン達はコールから聞いた、四人組に会って話を聞くために、山頂へと向かったのであった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る