2話 サヴァイル村へ
ユウの提案をリンはあっさりと承諾した。
なぜならエムと戦ったとき、気になるところがたくさんあったことを思い出したからだ。
【エムがいるフロアに入ったとき、Ⅰ討伐隊のほとんどが穏やかな顔で死んでたのよね。それにアイツ、変身って─】
「リン隊長っ!」
「うわぁ!!!!」
突然話しかけられてリンはビックリして転びそうになった。
「突然話しかけないでよー。びっくりしたぁ」
「すみません。出発してからだいぶ時間が経ったのでそろそろ少し休みせんか?サヴァイル村まで、まだ距離ありますし」
リックのノートによるとサヴァイル村はノルド村より更に北にあると記されいた。
「そうね……。ここまでの道中、魔物を倒しながらきたから、体力的にね……少し休みましょ!」
リンは休めるところを探した。5メートル先に少し窪んだ岩壁を見つけた。
「あそこで休みましょう!」
こうして2人は、少し休んだ。
「ねぇ、私も提案があるんだけど」
リンは真剣な表情でユウに言った。
「はいっ!なんでしょう!?リン隊長!!」
ユウは目をキラキラして返事をした。
「………その、リン"隊長"やめてほしいな…」
あまりにも勢いのいいユウの返事に戸惑いながらリンはユウに提案した。
「なんでですか!?」
ユウはショックを受けて今にでも泣きだしそうだ。
「だって、お互い討伐隊辞めてるでしょ?上司と部下の関係でもないしね……」
「リン隊長が討伐隊を辞めても僕はリン隊長を尊敬してます!だから……」
「ありがとう、ユウ。でもね、私が討伐隊にいた頃はお兄ちゃんもいた。リン"隊長"って呼ばれるもどうしてもお兄ちゃんを思い出してしまうの……」
リンは少し涙ぐみながらでユウに言った。
「っ─失礼しました。そしたら…リンさんって呼びます」
ユウは少し照れながらリンに言った。
「ありがとう。ユウ。ついでにもう一個提案ね。敬語もやめてほしいなー……なんて…」
リンはちゃっかりした顔でユウに言った。
「それは…努力します」
ユウは苦しい顔で答えたのであった。
─
休憩を終え、2人は再びサヴァイル村へ出発した。
途中、ダイアやテンソ、スパイドが出てきたが2人は難なくそれらを倒していった。
「この、気持ち悪い魔物なんですか?初めてみました………」
ユウは青ざめた顔でリンに聞いた。
「そっか。ユウは初めて見るよね?これはスパイドって言ってクモ型の魔物よ。大きさはダイアやテンソに比べたら大きくて足が長いけど、素早くはないから後ろから攻撃すれば簡単よ。入隊した頃私も見た目に抵抗あったわ。」
「見た目に抵抗あるのも、そうなんですが…僕……クモだけは大の苦手で………」
ユウはクモを思い浮かべたのか、青ざめた顔が更に悪化していた。
「あわわわ………次もし出てきたら、私が倒すわ!」
リンは慌ててユウに言った。
「そのときはお願いします」
ユウは即答でリンにお願いした。
そんな会話をしていたら、1つの村が見えてきた。
「あの村かな?サヴァイル村……」
リンは目を細めながら呟いた。
「そうですね………あ!看板がありますよ!!!サヴァイル村って書いてあります!」
「行きましょ!」
"サヴァイル村"に行くという目的を果たした2人は笑顔で村へと踏み入れた。
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