二章

1話 提案

「ユウ!どうしたの!?」


リンは予想外の訪問者に驚きが止まらなかった。


「リン隊長に報告したいことがありまして…」


ユウは真剣な目をしてリンに言った。


「立ち話もあれだから、中に入って!」


リンはユウを家に上がるよう、促した。











「それで?話ってなぁに?」


リンはユウにお茶をだして、聞いた。


「僕、討伐隊やめました!」

「は!?」


突然の報告にリンは驚いてコップから手を離してしまったが、なんとかそれをキャッチした。


「………なんで?」


リンは神妙な面持ちでユウに聞いた。


「リン隊長が辞めた理由を聞いて、いてもたってもいられなくなったんです。だって、あれは全てリン隊長のせいではないじゃないですか!?それに、僕もなんです……」


ユウは何かを訴えるかのような目でリンに言った。


「なにが…………?」


リンの頭には、?がいっぱいだ。


ユウは待ってましたとばかりにリンに右肩を見せた。


「それ……………!?」


リンは驚くあまりに口に手を当てた。なぜならユウの右肩にもリンがエムから受けた魔法の傷痕があったからだ。


「驚きますよね?僕も5年前にエムに攻撃を受け生き残り、呪いをかけられた身です」


ユウは見せた右肩をしまいながら続けた。


「だからリン隊長、僕もエムが憎いです。一緒にエムを倒しましょう!」


ユウはすごい勢いで椅子から立ち上がり、リンの手を取った。


「わわわ、わかったわ!一緒にアイツを倒そ!正直、あなたが来る直前アイツを倒しに行くところだったの!今から行きましょ!」


リンは掴まれた手を握り返して、ユウを手を引っ張った。


「ストッープ!ストッープ!ストップです!リン隊長!」


ユウはハッとしてリンを慌てて止めた。


「なに!?今のはそのまま倒しに行く流れだったでしょ!?ユウ、善は急げよ!」


リンは今からエムを倒しに行くという気持ちでいっぱいで目を爛々とさせている。


「アイツは、居城を変えてるかもしれないんです!」


ユウはリンの気迫に負けそうになったが、なんとかそのことを伝えることができた。


「どゆこと?」


リンの頭にはまた、?がいっぱいになっていた。


「これを見てください」


そう言うとユウはおもむろにカバンをごそごそと漁り一冊のノートを出した。


「それは?」

「元Ⅰ討伐隊隊長補佐リック………いえ、姉さんが書いた調査ノートです」


ユウはさらりと答えた。


「え?」


リンはユウが言ってることに頭がついていかず、もうフリーズしている。


「リックと僕は姉弟なんです。って、リン隊長?今はそのことは置いといて下さい」


フリーズしているリンを見て、ユウはノートをトントンっと指をさして、リンにノートを見るように促した。


ノートの中には、エムの居城にはセントラル村、エスト村、オーヴェスト村、スッド村、ノルド村それぞれの森奥に居城を構えていること、エムの呪いのこと、そしてエムの呪いを受けたもの達だけが住んでいる村があることが記されていた。


「今僕達がわかっていることは、エムの居城が数多くあること、僕達が受けた呪いのことなどしかわかっていません。エムを倒すには弱点や能力がわかれば、勝率は上がると思うんです…。そこでリン隊長、提案です。」


「なに?まさか………」


「情報収集しましょう。エムの呪いを受けたものだけが住んでいる村。サヴァイル村に行きませんか?」


ユウはニヤリとしながらリンに言ったのであった。












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