序章2

真実

討伐失敗後、リンは討伐隊を解雇された。

理由は、討伐失敗の責任をすべてリンが負ったこととリンの体に呪いをかけられたことが本部に知られたからだった。





─2週間後


リンは一冊の日記と向き合っていた。ランの日記だ。リンが討伐隊を去る前に本部の人から「ランの執務室から見つけた」と言われ渡されたものだ。


正直、まだランのものと向き合うのは怖かったが、リンは思いきって読み始めた。内容は入隊した頃の話、魔物を初めて討伐できた話、隊長になったときの話、リンが隊長になったときのお祝いの話しなどだった。


「お兄ちゃんが死んでからしばらくたったけど、実感しないよ……お兄ちゃん………」


リンはランを亡くした悲しみがふくらみ、涙ながらに日記を読み進めた。するとエムの討伐前日の日記にたどり着いた。読んでみると衝撃的なことが書かれていた。


【今日もテンソの討伐をした。最近、テンソがどんどん増えてきている。そして強くなってきている。アイツと関係しているのか気になる…そしたらタイミングよく本部からアイツの討伐指令がきた。ちょうどいい。直接会って聞いてみよう。アイツは父さん母さんの仇でもあるんだ。絶対に倒す!問題なのはリンが父さんと母さんの仇がアイツだということを知らないことだ。知ったらリンはショックを受けて正気を失うかもしれない。心配だ。よし、別行動の提案をしよう!リンをアイツから遠ざけよう。そして俺がアイツをサクッと倒してお兄ちゃんが倒したぞ!って自慢してやろう!】



「お兄ちゃん…。バカバカバカバカバカ!お父さんとお母さんが死んだあと2人で仇討つって決めたじゃない!なのに……!最後まで心配性なんだから……」


リンは顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。













ー数分後


ランの日記を読んで、気になることがあった。


「エムは私達のお父さんお母さんも殺してる……?」


そう呟いたあと、リンは肩で呼吸し震えていた。


そして─


「ふふっ!……あはははっ!!!なーんだ、お父さん、お母さん、そしてお兄ちゃんの仇一辺に取ることができるじゃない………………許さない…………エム、私はあなたを絶対に殺してやる!あの時あなたがしてくれたことに感謝しなくちゃね。呪いのおかげで体力まで当時のままだもの。次会ったら覚悟しなさい!」


リンはお父さん、お母さん仇相手がエムだわかり、意気揚々としていた。


「今すぐアイツの元へ─!!!」


リンは意気込んで玄関の扉をおもいっきり開けた。すると、


「─っぶ!」

「え!?ごめんなさい!!うちに何かお届け物かしら?って、えぇっ!?」


どうやら扉の向こうに人がいて、その人の鼻におもいっきり当ててしまった。更にリンは扉を当ててしまった相手をみて驚いた。


「ユウ!!!!!!」

「お久しぶりです。リン隊長。」


そこにいたのは、Ⅱ討伐隊隊長補佐のユウだった。














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