4話 指令

─時は戻り現在



「はっ!」


リンはびっくりして目が覚めた。どうやらあのままうたた寝してしまったらしい。そして顔が濡れている感じがしたので手を当てた。泣いていたことに気づいた。


「─ガチャ」


扉が開く音とともにランが入ってきた。


「ただいまー……ってうぉぉぉい!?リン!?電気ついてなかったからお風呂入ってるかと思ったよ!びっくりしたぁ」


ランは相当驚いている。


「おかえりー。びっくりさせてごめんね。」


リンは慌ててランに言った。


「リン、泣いてたのか?」

「え?」


「どうしたぁ!?変な人に襲われたのか!?それともやけど!?包丁で指切った!?小指を棚の角にぶつけたのかぁ!?」


ランはリンの肩に両手をおき、リンを揺さぶりながら矢継ぎ早に聞いた。

リンの首が今にでもそのままとれそうな勢いで。



「お、お、お、お兄…お兄ちゃん!!!!」


リンはなんとかランを呼んで止めることに成功した。


「はっ!ごめん!!!」


ランはようやく気づいて揺さぶるのをとめた。


「さっきまでうたた寝してて怖い夢をみたの!」


リンは首を回しながらランに言った。


「そっか……うたた寝しててもいいけど、電気はつけろよ!お兄ちゃん腰抜かしちゃうからさ笑」


ランはリンの様子をみてお父さんとお母さんが死んだときのことを思い出していたことに気づいた。だが、それをごまかすためにリンの頭を撫でながら言った。


「今何時だ?………おっ!23時半!間に合ったぁー」


ランはそう言いながら、お父さんとお母さんの写真の前に座った。


「父さん、母さん、遅くなってごめんな……俺とリンは魔物討伐隊隊長として日々精進してます。でもまだまだ2人とも未熟者です。未熟ながらのお願いだけど、これからも見守ってて下さい。2人ともがんばります!」


挨拶したあと、ランは写真の前で礼をした。


「それと、報告です。明日から俺とリンで魔物のなかで最も強いと言われている、ヴァンパイアのエムの討伐に行ってきます!」


「え?」


リンはランの言ったことに驚いた。

(帰ってくるとき、そんな指令あったかな。。)


「あははっ。リーン、そんな顔しなくても大丈夫だよ。エムの討伐指令は俺が帰る直前に出た指令なんだから!」


ランはリンの様子を見て、安心させる優しい声で言った。


「よかったぁ。で、でもどういうこと?お兄ちゃんはⅠ討伐隊で私はⅡ討伐隊だよ?合同で討伐するってこと?」


リンはほっとしながらも、出てきた疑問をそのままランにぶつけた。

ランとリンが魔物討伐隊に入隊してから、合同討伐なんて聞いたことなかったからだ。



「ご名答!!!」


ランはニッコリと笑ってリンに答えたのだった。







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