2話 命日1~魔物討伐隊を目指したきっかけ

ランとリンの両親も魔物討伐隊で、父はⅢ討伐隊隊長、母はⅣ討伐隊隊長だった。






―「よし!できたぁ!あとは…」


リンは晩御飯の準備をしていた。


「よいしょ。」


父と母の写真の前に作った晩御飯とお花を添えた。


「お父さん、お母さん元気?今年でお父さんとお母さんが死んでから10年が経ったね。お兄ちゃんは今日魔物討伐で一緒には挨拶できなかったけど、私と絶対今日中には帰る!って約束したからあとでね!」


リンは笑顔でお父さんとお母さんに挨拶した。


「……お父さんとお母さん生きてたらいろんな討伐したときのお話いっぱい聞きたかったなぁ…会いたいよ。お父さん、お母さん……」









────10年前


「お父さんお母さん朝早くからどこ行くの?」


朝起きたらお父さんとお母さんは出かける準備をしていた。


「リン!起きたの?お母さんとお父さんはこれからお仕事に行くの。」


お母さんは起きてきたリンをみて驚き、少し慌てながら言った。


「えー。もぉ行くの……」


リンは少し涙ぐみながら言った。

リンがそう思うのは、最近仕事仕事でお父さんとお母さんに会っていないからだった。


「大丈夫!今日のお仕事が終われば、しばらく落ち着くから!お父さんとお母さんが帰ってきたら特段に美味しいものを食べましょ!」


お母さんは笑顔でリンに言った。


「リンに会えないのはお父さんも寂しいよ。だけどリンも大きくなって立派なお姉さんだ!リンが笑顔で待っててくれたらお父さんもお母さんもいつもよりもっとがんばれる!」


お父さんはリンを抱きしめたあと両手をリンの肩に置いて言った。


「わかった!リン、笑顔でお父さんお母さん待つ!お父さんお母さん頑張っきて!そして早く帰ってきてね!」


リンは目を輝かせて言った。


「「うん!」」

お父さんとお母さんはリンの髪を撫でながら言った。


「「じゃあ行ってくるね!」」

「行ってらっしゃーい!」






─それがリンと両親との最期の会話となった。















ーその日の夜

「お父さんお母さん帰ってこないね」


ランは窓を見ながら言った。


「お父さんとお母さんと今日は絶対に帰ってくるって約束したもん!」


リンはランに強く言った。


「─コンコンッ」


玄関の扉の叩く音がした。


「ほらぁ!お父さんとお母さんだ!帰ってきたんだ!」


リンは目を輝かせながら、玄関へ一直線に向かった。

慌ててランもリンに着いていく。


「はーい!お父さんお母さんおかえりー!!」


そう言ってリンは扉を開けた。


しかし、そこにいたのは両親ではなく知らない男の人と女の人だった。


「魔物討伐隊本部の者です。こちらロバートとレイのお宅よろしいでしょうか?」


男の人が毅然と言った。


「ロバートとレイは、お父さんとお母さんの名前ですが…」


ランは恐る恐る男の人の質問に答えた。


「突然来てごめんなさいね。あの……………落ち着いて聞いてほしいんだけど………」


女の人がやんわり且つぽつりぽつりと言った。

























「お父さんとお母さん死んでしまったの。討伐相手に殺られてしまったの…」







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