一章
1話 ランとリン
魔物討伐隊にはⅠ~Ⅵの隊がある。
Ⅰは闇、Ⅱは光、Ⅲは火、Ⅳは水、Ⅴは風、Ⅵは地というようにⅠ~Ⅵの隊はそれぞれ、特化している魔法の属性がある。
ランはⅠ討伐隊、リンはⅡ討伐隊に所属している。
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「リーン!リーン!」
ランが隊舎連絡でⅡ討伐隊が魔物討伐から帰ってきたことを聞き、真っ先にリンのところへ向かい、リンを見つけ、叫んだ。
「お兄ちゃん!!?」
リンはびっくりしている。
「お兄ちゃんは心配だったよー。。大丈夫だっか?怪我してないか?風邪ひいてないか?ちゃんと寝たか?ごはんたべたか?」
そう、ランはリンに大してめちゃくちゃ心配性だ。
「お兄ちゃん…。また…。
もうっ!大袈裟!!!今回はダイアの討伐だから大したことなかったよ。ダイアはウルフ型の魔物で、魔物のなかで数は多いけど、魔力や攻撃力は一番低いの知ってるでしょ?それに私はもう18歳!子供じゃない!そしてⅡ討伐隊の隊長!」
リンは捲し立てるように言った。
「わかってるよぉ……。でも兄ちゃんはいつでもリンが心配だよぉ」
ランは泣きそうな顔しながらリンに言った。
リンは顔をひきつらせていた。
顔をひきつらせてるリンをよそにランは涙ぐみながら続ける。
「どんなに弱い魔物だろうともリンの顔に傷がついたらお兄ちゃん泣いちゃう…」
リンはもうげんなりしうなだれていた。
「ここにいたんですねぇ。。。
探しましたよラン隊長!!!!」
「ギクゥ…………」
ランは恐る恐る振り返る。
「あっ」
リンは顔をあげる。
声の主はⅠ討伐隊の隊長補佐のリックだった。
ランはⅠ討伐隊の隊長だ。
「あなたはまた、執務をほっぽりだして、リン隊長にちょっかいをっ!!!!今日の夜から討伐に行くんですから、それまでにしっかり終わらせて下さい!他の隊員も心配してますよぉ!Ⅰ討伐隊隊長の自覚を持って下さい!」
リックは今にでも頭から鬼の角が生えてきそうな形相でランに言った。
ランはワナワナしている。
「え?お兄ちゃん、今日の夜討伐なの?」
リンは驚いた様子でランに聞いた。
「あー……。今日は絶対に討伐行きたくなかったんだけど、リックがラン隊長がいないとどうしてもぉー!って言うから笑」
ランはバツが悪そうにリンに言った。
「リン隊長、この日にすみません。今回はテンソの討伐で …ーーー。」
リックはフォローに入った。
「でも、テンソって確かコウモリ型の魔物で魔力や攻撃力はダイアと同じくらいの魔物よね?」
テンソの名前を聞いて驚いたリンはリックにすかさず聞いた。
「そうです。さすがリン隊長!普段は隊長が不在な状況でもフォローできるのですが、ここ最近テンソが凶暴化していまして、隊長分のフォローができなくなってきているんです。」
リックは説明を続けた。
「リン、わりぃな。父さんと母さんに俺の分もよろしく言っといてくれ」
ランはリンに申し訳なく言った。
「自分で言いなよ!!今日中には絶対帰ってきて!!!」
リンはわがままだとわかっていたが
ランに言った。
「おぅ!任せとけ!!!」
ランはリンに屈託のない笑顔で親指を立てて言った。
そう、今日はランとリンの両親の命日であったのだ。
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