7話 神速
「では使いますね」
ライルは『神速』のスキルを使ったらしく、気づけば後ろに回り込まれていた。
「どう?」
速いな。だけどもうわかった。
レンはすぐに『神・流転』を使う。
「えっ」
ライルは突然後ろにレンの気配が移ったのに気付き振り替える。その表情は驚きと尊敬があった。
何故目がハートマークになってるんだ?明らかに違う感情が入ってる。
「どうした?」
「さすがです!一度見ただけで再現できてしまうなんてあなたがお婿さんで本当によかったです!それになんで再現できたのですか?教えてください!」
その勢いに気圧され固有特殊スキル『神・流転』について説明したが、それが仇となったらしくライルに心の底から気に入られてしまったようだ。
「少し練習してからアルト王国に向かおうか」
「はい!」
元気よく返事してくれたライルにアドバイスしてもらいながら昼の時間になるまで練習したのだった。
レンは家に作り置きしていた角うさぎの炒め物を『収納』から出してライルと食べたが、その時のライルは「料理で負けたー!」と悔しがっていた。
なので「次作るときは教える?」と聞くと「はいっ、お願いします!」と嬉しそうに言っていた。
「おい、こっちから声が聞こえるぞ!」
「あいつの声だ!どうやって村を出たか知らねぇが捕まえて殺せ!」
もう隠す気はないらしい。ライルが戦闘体勢に入ろうとしている。
「ライル、行くよ」
そう言ってアルト王国の方へと歩いていく。そして村の人達に見つかる前にライルを抱きかかえ『神速』を使う。
5分たち、止まるとライルを降ろし木に寄りかかった。
「よかったんですか?あの人たちレンさんを殺すために探してたのではないのですか?」
レンは「そうだ。けど無駄な戦いを避けただけ」と言い、目を瞑った。
もう終わったことだ。それにあの村に戻る理由もないし戻る気もない。今は目的を果たしに行くだけだ。
気づけば夕方になってた。どうやら寝てしまっていたようだ。そして一つだけ疑問に思ったことがある。
なぜ……何故ライルが僕に膝枕をしているのだろう。
「目が覚めましたか?」
顔を覗きこみながら微笑んでいる。いつからしていたのだろうか。
「目を瞑ってすぐに寝てしまったのですぐに膝枕をさせてもらいました。いかがでしたか?」
「まあまあかな」
うん、よかった。そう言うのが恥ずかしくなり目をそらしながらまあまあと言ってしまった。
「ふふ、そうですか。では野営の準備をしましょうか」
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