第34話


 一週間お待たせ致しましたァァ!!

 執筆激落ち状態でございますが、頑張って書きました。だから許してください!

 文字数少ないのは私の疲弊だと思って……!



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 「───そう言えば今更ですが、俺はみき。こっちは紫希と塗々木とどき、それと陽乃ひのの三人で、見てのとおり迷宮探索の仲間です」

 「どうも」

 「あぁ、こちらこそどうも」

 

 金髪の男……いや、幹は俺に向けてフレンドリーに自身を含めた仲間を紹介した。


 紫希さんは先程見たからいいとして、塗々木は青色の髪をした細身長身で、細い目が特徴の男。

 そして陽乃さん、いや陽乃ちゃんは小動物感のある、明るい茶髪をした小柄な少女だった。どちらも俺に会釈をしてくる。


 これはもしやこちらも自己紹介を求められているのかもしれないと、軽めの会釈を返してから顔を上げた。


 「俺は……イブ。そんでこっちはルリ。こんななりだが、家族二人で探索者をやっている」

 「……」


 本名を使うかどうかを一瞬だけ考えて、やはりリスクが高いと判断し予め用意しておいた偽名を使うことに。

 本当ならばルリの方も偽名を使いたかったが、事前に聞いてなかったこともありそのまま。探索者としてもルリという名で登録しているはずなので、足がつかないとは言いきれないが……流石に向こうもそんなことを調べはしないだろう、きっと。


 ルリの頭に手を置きながら言えば、どこか嬉しそうに俺の事を見上げた。

 反応した部分から察するに、家族という言い方が良かったらしい。距離感近いの好きだな本当に。

 まぁこのスキンシップと、容姿の色が同一という部分で家族であるという言葉には高い信憑性があるはずだ。


 「そうなんですね……えっと、最初に会った時から疑問だったんですが、妹さんの方を連れてきても大丈夫なんですか?」

 

 俺達の簡単な自己紹介を聞いた幹は、早速今まではあまり視線を向けなかったルリへの疑問を挙げた。確かに、ルリの容姿を見れば疑問に思うのは当然。


 「あぁ、ルリはこう見えて見た目より歳は上だし戦闘経験も十分にある。さっきの怪我を見てもらえばわかるが、正直俺の方が足を引っ張ってるかもしれないぐらいには優秀なんだ」

 

 少し下に見られたルリは特に不満そうな顔はしていないが、一応訂正をしておいた方がいいだろうと判断し説明をする。

 幹だけでなく四人が軽い驚きを露わにして、ルリの方に視線が向いた。そりゃ、見た目小学生という表現を何度も使うくらいには幼い見た目なわけで。


 そんな子が俺よりも強いという話は中々信じられないかもしれない。


 俺も信じ難い。


 「そ、そうなんですね。やっぱ、レベルが高いとかですかね」

 「そんなところだ。な、ルリ」

 「……ん」


 ルリに問いかければ、合わせてくれた反応が返ってくる。いや、確かにレベルは高いはずなので嘘をついている訳では無いが。

 

 しかし、それはともかくとして自己紹介までしてしまったのは危険だろうか。さっきも言ったように向こうだって別に俺達の事を探ろうなんて気配はなく、一見して大丈夫なように思えるが、それでもクリスからのお願いという部分で慎重にならざるを得ない。

 

 だって、王女クリスのお願いとなるとな……あぁ、胃がキリキリと痛み始めたような気がする。


 「なんか、兄妹でというのも楽しそうで良いですね。安定感のようなものも何となく感じますし」

 「そう見えるなら、まぁなんというか、良いんだろうな」

 

 そんな俺の苦悩など知る由もなく、むしろ知られたら困るのだが、対面で幹は心の底から羨ましそうな、純粋な表情を向けてきた。


 どうやらお世辞等ではなく、嘘偽りのない本音らしい。そんなに良さそうな関係に見えたのだろうか。

 ルリが無言で俺にくっついているのがそう見えたのかもしれない。こちらに甘えるようなオーラをこれでもかと出しているし、俺も最近ルリとの距離が更に近くなっているような感覚はある。


 俺の隣で、ルリが微かに顔を動かした。単なる身動ぎでは無いのを悟って俺も体の向きを変える。

 恐らくは魔物でも居たのだろう。相変わらず俺には一ミリたりとも魔物の気配を感じることが出来ない距離だが。


 「悪いが、そろそろ行くよ。少し探索をしてから帰りたいからな。あまり時間をかけると、帰り道が疲労で大変になる」

 「あ、すみません引き止めてしまって」

 「いや、こっちこそ服を直してもらって助かった。見たところ帰りみたいだが、一応気をつけてな」

 「えぇ。恐らく大丈夫だとは思いますが、油断せずに帰ります。では」


 頭を下げて、幹は他の三人と共に去っていく。三人もこちらを気にしている素振りはあったが、特にそれ以上声をかけられることも無く不思議な階段を上っていった。


 そうすればあとは、広い平原が残っているだけ。周りにはルリ以外の他に誰がいるわけでもない。

 なので思いっきり、精神的疲労を見せてしまう。


 「あぁ……胃が痛い」

 「……だい、じょうぶ?」

 「大丈夫じゃないな。安静にしてたいのが本音だ」


 もし全てのことを無視していいなら俺は危険なことはせず安全な暮らしをすることに決めるだろうが、当然そんな選択は有り得ない。

 強くなる、魔王を倒す、帰る方法を探す───地球に帰る。この目的が変わることは無いだろう。


 それが変わることがあれば、それこそ俺の帰る目的が無くなった時だけだ。


 まぁ、魔王なんて存在と戦う未来があるなら、今以上に緊張したり、自分以外の命や大事なものの命運を握ることもあるだろう。魔族の襲撃も、もし都市に向けたものであればもっと酷いことになる。そんな時近くにいれば、勇者として駆り出されるのは想像に難くない。

 そして自分が下手を打てば大勢の人が死にます、という結末。精神の疲弊は凄まじいはずだ。

 そういう意味でいえば、王女とはいえ知り合い程度には関係のあるクリスからのお願いにここまでなってしまうのはダメなのかもしれない。


 「思考を切りかえてくしかないな。守護者ガーディアン戦よりも辛かったが、取り敢えず切り抜けたんだし」

 「……えらい、えらい」


 ヨシヨシとまた頭撫で。背伸びして、恥ずかしがることすらなく素でこんなことをしてくるのだから、感性がズレているような気がする。

 そういうちょっと鈍感なところは子供の無邪気さの一面とも捉えられなくはない。背伸びした都合上顔は近いが、至近距離からの俺の視線に気がついても不思議そうに見返してくるだけ。


 そうだね、俺が気にしすぎだな。うん。女の子から撫でられたら素直に喜んでおこう。


 「ありがとう、ルリが居るだけで頑張れるよ。そうとなればこの階層もさらっと見ていくか」

 「……ん」


 元々ルリが魔物の気配を察知したのだ。さっさと行ってこの階層の魔物を見て、今日は一度帰ることにしよう。


 

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 一週間、活動報告等を特に書いていなかったのですが、本当に申し訳ない……サボりましたはいごめんなさい。

 い、一応Twitterでは定期報告していたのです!でも各サイトで連絡するのまでは手が回らないという名のやる気が出なくて……はい。


 次回からはそろそろ投稿頻度を戻したい……!! ということで目標は明明後日でございます。

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