第3話
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名前:城処 拓磨
性別:男
年齢:17
種族:異世界人
レベル:1
《パラメータ》
【生命力】10000
【筋力】1000
【体力】1000
【敏捷】1000
《スキル》
️■武器術
[剣術Lv.1]
■魔法
[光魔法Lv.1]
■ユニークスキル
[成長速度上昇][聖剣術Lv.1]
[全属性適性][全属性耐性Lv.1]
[鑑定]
《能力》
【勇者Lv.1】
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───どうやら拓磨のステータスは素晴らしいものだそうで、聞くに『ユニークスキル』という項目の[聖剣術]、『能力』という項目の【勇者】というのが、凄いのだそうだ。
王様と王女が感嘆の声を漏らして「まさか【勇者】の能力を持っているとは……」なんて呟いていた。まぁ、きっと過去に魔王を倒した勇者と同じ能力、みたいな感じではないか。勇者が勇者の能力を持つって、重複してるみたいでややこしいが。
また、パラメータもレベルが1にしては破格の高さだと何とかで、控えめに言って『強い』のだそう。もちろん、絶対的な強さとは言えないらしいが、少なくとも同じレベル1どころか、レベル10ぐらいまでの相手なら、純粋な能力だけで勝てるらしい。
拓磨が居心地悪そうに身動ぎをする。メイドも混ざって褒められている状況は、確かに嬉しさを通り越して気まずいだろう。気恥しさを感じるには、まだ親しくない相手だ。
その後も続々と皆でステータスを見ていく。どうやらパラメータとレベルは全員が共通らしく、スキルと能力が違うらしい。
ステータスについてだが、パラメータは各項目の数値が高いほど該当能力が強化されるもので、スキルは対象となる技術を補助してくれたり、特殊な力を付与してくれたりするものらしい。スキルの種類に関しても幾つかあるが、その中でもユニークスキルというのは特殊で、『取得が困難or先天的に取得しているスキル』で、同時に『強力なスキル』でもあるらしい……。
そのスキルは持っている人が居たり居なかったり、ユニークスキルは全員が[成長速度上昇]というのを持っているが、たまに拓磨のようにそれ以外にも持っていたり。ただ、拓磨ほど持っているのは居ない。
それで能力だが、これは勇者限定の力らしく、全員が全員異なっていた。とは言っても、名前だけではどんな能力かも判別がつかなければ、俺達にとって能力と聞くと『テレキネシス』とか『パイロキネシス』とか『テレポート』とか、そんな異能力、超能力をイメージするのだが、そういうのともまた少し違うようで認識に差が出ていた。
ともかく、全員が見終えた頃には、「皆様は十分に、勇者として相応しい力をお持ちです」と王女からお墨付きを貰ったので、少し安心。
ちなみに俺は……拓磨程大層なものでは無いが、それ以外と比べると恵まれていると思うような内容だった。というか拓磨の次に恵まれていると思う。
特に[鑑定]。拓磨と、俺も持っていたこれは、今回のようにステータスプレートという道具を使わなくても自分でステータスを確認できるスキルとのことで、他にも戦闘時に相手のステータスを見たり、道具や物の詳細情報を知ることも出来ることから、情報収集にも長けた、有用なものらしい。
また有用であると同時に、極めて珍しいスキルでもある。
使い方は簡単。対象に焦点を合わせて、念じるだけ。自分のステータスなら視点は要らず、念じるだけで、頭の中に情報が入る。
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名前:夜栄 刀哉
性別:男
年齢:17
種族:異世界人
レベル:1
《パラメータ》
【生命力】10000
【筋力】1000
【体力】1000
【敏捷】1000
《スキル》
️■武器術
[剣術Lv.1]
■一般
[観察眼Lv.1][偽表情Lv.1]
■ユニークスキル
[成長速度上昇][完全記憶]
[神童][鑑定][偽装]
《能力》
【輪廻転生Lv.1】
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試しに使ってみれば、なるほど、頭の中に情報が入るとしかいいようがない結果だ……。
思わずビクッと肩を震わせるが、幸いにして誰も気づいていない。いきなり何にビビってんだと言われるのも嫌だったので良かったが、それにしても、不思議だ。
確かに、特殊な力が付与されている。スキルってすごい……。
能力に関しては、多分クラスの中でいちばんよく分からないものだと思う。輪廻転生。死に戻りでもしてくれるのだろうか。いや、転生だから、記憶を保持したまま来世に行ける?
長期的に見れば役立ちそうだが、その長期的が長すぎる。死んでから生まれ変わるまでに、一体どれだけの時間が経つんだ。死んだ直後か? 十年か? 百年か? それだけ経てば、こいつらはもう居ないきがする。
ともかく、死ぬことを前提とした能力でないことを祈るばかりだ。そもそも今の俺達にとっては、能力なんて言葉自体、信用性があまりないのだが。
「では、勇者よ。今日はまだ早いが、部屋でゆっくり休むといい。貴殿らもあまりのことに混乱していて、疲労も知らずのうちに溜まっているかもしれぬからな……帰りもメイドに案内してもらうといい」
王様の一言で、今日のところはこれで終わりになる。どうやら十分な価値は示せたようなので、拓磨も一安心していることだろう。俺も、どうなるのだろうかと少しは不安があったが、取り敢えずはほっとしている。
再び部屋に戻ってきて、何だか自室のような安心感を味わいつついれば、すぅっと眠気が入り込んでくる。
「……まぁ、寝たくもなるか」
苦笑い気味に呟いた。異世界に召喚されて、勇者だのなんだの言われて、ステータスなんてものを確認して、まるで本当に、フィクションの世界だ。それこそ、誰かが書いたラノベ作品の中に入り込んでしまったような。
俺にとっての決定打は、やはり[鑑定]というスキルだろう。頭に直接ステータスの情報が入り込んで、把握出来てしまうあの感じ。あれはどうやっても地球では無理なはずだ。
もしあれが、薬物や何かの影響によるものだとすれば、それはもう危険すぎる。勝手に何かしらが体に与えられている事になるのだ。
それならまだ、俺はファンタジーだと信じたい。魔法や神の力、そういうものだと思いたかった。
ベッドに制服のままダイブする。部屋に備え付けられたクローゼットの中には現代日本に住む俺でも違和感なく着れそうな庶民的かつ生地も良さそうな服や、魔法使い、いや魔導師が着てそうなゆったりとしたローブなどもあったが、まだ着慣れた制服の方が今は気楽だった。
制服で寝ることも割とあったしな……新品のベッドのようなこの感じは、少し落ち着かないけど。
己のステータスをふと思い出す。拓磨は大層なものを持っていたが、俺も、悪くは無いラインナップだったと思われる。別にスキルの効果までは把握してないが、それでも[完全記憶]やら[神童]なんてものが並んでいると、少しは期待をしてしまう。
だが、それだけだ。それだけ。それがどうしたと、だからなんだと。
現時点では、俺達は同レベル帯の中では群を抜いて強いだけ。王女の言葉を聞くに、レベルというものはやはり上があって、それこそそのレベルによっては、俺達が逆立ちしても勝てないような相手がこの世界にはゴロゴロいるはずだ。
それに………これ以上はネガティブになりそうなので、俺はゴロンと、寝返りを打って思考を断ち切った。
「……よし、寝よう」
照明は消せるのか分からないが、スイッチがある訳でもないので、布団にくるまって寝に入る。
……朝起きたら、いつもの部屋であってくれないかなぁ。
朧気な意識の奥で、誰かが俺を呼んだ気がした。
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