第8話 GIANT KILLING
私が唯一最新刊まで買っているマンガ。大好きなんです。年一回、無性に読み返したくなるんですよ。そのたびにTSUTAYAに駆け込んでいたんですが、「定期的に読みたいなら買え」と家族に言われ、電子書籍に手を出しました。ありがとうkindle。
私、別にスポーツものを愛好しているわけではありません。ただ、どんでん返しや予想を裏切る展開、トリックスターや頭を使った機転が好きなんです。それを多く接種できるのが推理小説なのかもしれない、だからよく手に取るのかも。
そういうわけだから予想を超えるもの、驚きのある展開を読みたいので、ジャンルは特に限らなくてもいいわけです。
GIANT KILLINGは今、もう50巻は超えていてすごく長いシリーズになってましたね。Jリーグのクラブ名は当時のJ1にいたクラブからもじったものだと思うので色々と感じるものがあります。山形、君のことだよ。
マンガでもゲームでもアニメでもドラマでも映画でも、長いものは追いかけるだけですごく労力使うんですよね。小説もそうだけど。シリーズって言うだけで「こんなに読まなきゃいけないのか」ってなって敬遠したり。そういう意味では私がジャイキリ読み始めたのは二十巻くらいのときだったので、まだ頑張れば手が届くかな、くらいの時期だったけど。
読んでみて面白ければそういったことは関係なくなる、というのもわかります。ただその「読んでみて」のハードルってすごく高いですよね、とは思います。小説でも「面白いから読んでみて」と言われても、数十万字あると尻込みしてしまいます。それは私の問題なので、気にしないよって人の方が多いかもしれない。
どんでん返しが好きと言いましたが、舞台を引っ掻き回すことに憧れを感じたのかもしれません。弱小クラブETUを建て直すために監督に就任した達海ことタッツミーの采配の面白いこと。奇策っていうのは効果が出なければ愚策になってしまうのが塩梅の難しいものだけど、狙いがあって、監督が突拍子もないアイデアを出して、その狙いに選手やスタッフが気づいて。言葉ではなく自分で気づかなければ意味がないというのも、また成長と信頼。そういう意味でタッツミーとETUはうまくはまったりもどかしい思いをしたりしながら、クラブごと成長しているんだと思います。
選手も物も使いようというか、才気溢れる監督が頭使って想像しないような采配をして、強豪を打ち負かしていくんだと思ったんです。でも物語のキモはきっとそこではない。タッツミー一人のチームでもないし、彼一人の力でなすのならそれはクラブとしての強さにはならない。いつか彼が監督を辞めたあと、スター選手がいなくなったあと、このクラブに何が残るのか。タッツミーはそんな先まで見据えて、クラブに、スタッフに、選手に接し、大切ななにかを伝えようとしているんだと思い……
とか長々書いたけどもう歳なので頑張る大人の姿が刺さるんですよ。あがり症のバッキーが泣きながら変わりたいって言うだけでウルウルするんですよ。最盛期を過ぎたベテラン選手が必死にボールにしがみつく姿に感動するんですよ。これも年齢のせいかなーと思っていたのですが、感情の制御ができないのは前頭葉が老化しているからだってツイートも見かけたのでもう何を信じたらいいかわからない。
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