雑多な短編集

パシェニャとよくあたる現代占い

「お? 発見! 『探し人:意外と簡単に見つかった』わ!」

 何言ってるんだ? 探し人? ゲーセンで待ち合わせの約束だったんだから当然会っただけだろ。

「占いの話に決まってるじゃない! ほらこの占いサイト!」

 スマホでそんなの見れるのがあるのか。てか占いかー。ぼくはあまり好きじゃあないな。

「なんでよ」

 占いでよくある、今日最も悪い運勢の方すみません〇〇座のあなたです! なんてのは反吐が出そうになる。

「『反吐』ってリアルで聞くの初めてな気がするわ! でも当たったら楽しいじゃない!」

 未来へのチケットはいつでも白紙だ! 未来は自分で切り開くものだ! ていう言葉のほうがよっぽど助けになるよ。

「じゃあ次の占いを見るわね」

 じゃあってなんだよ。盛大にスルーしやがったな。

「『ジュースがこぼれるでしょう』が出たわ!」

 ジュース? ぼくも君もジュースなんて持ってないぞ?


 「うわっこぼした!」


「お? 別の客がこぼしたわね……あ、わたしたちじゃなくて別の誰かがこぼすことになるわけね。ほら当たったじゃない!」

 当たったうちに入るのか? なんともおそろしいな。

「さて、次の占いは……」

 もう見ないほうがいいと思うぞ。

「『リアルでUFOに殺されるでしょう』『てこの原理で助かるでしょう』『焼き鳥が美味しいでしょう』」

 あーあ。見ちゃったか。

「でもリアルでUFOはありえないわね」

 同意。

「じゃ、焼き鳥買いに行く?」


 ブウゥゥゥン! ドシュー!


「な……!?」

 何の音だ?

「うわっ店の外にアダムスキー型UFOが来たわ! 殺されるー!」

 落ち着け……って言ってもなー。どうする?


 ビーム!


「危ねっ、ビームかよ! 危うく当たるところだったわ――そうだ、未来は自分で切り開くものだッ!」

 そうかもね。運命変えられるかもね。

「装填、炎華暴弾エンカボウダン!」

 店に迷惑かけるなよ?

「そして射出!」


 バシュゥゥゥン!


 命中したな。

「やったか?」

 それやってない場合のセリフ!


 ガガガガガガン!


「UFOが暴走してる! 店内めちゃめちゃ!」

 でもやっつけたっぽいな。


 ドカーン!


「ぐぁっ、爆発の勢いで倒れた筐体の下敷きに!」

 あ、もしかして。いまので、リアルのUFOにリアルなドット絵のキャラクターが殺されたっぽい。

「いいからさっさとてこの原理で助けなさいよ!」

 モップがあるな。これでどうだ。

「ありがとう、助かったわ」

 あとなんかあったな。

「焼き鳥かー」

 買いに行こう。


「味は良い方にブレの範囲内ね!」

 散々だったな。

「さて、次の占いは……」

 こりてないのか!

「あ、スマホぶんどるとは! ひどい!」

 だから! こわすぎるだろ!

「返しなさいよ!」

 あ、ちょっと見ちゃったよ。

「え? ど、どういう占いだった?」


 『あなたは揉むでしょう』


 うーん……目の前に……

「どういうのだったのよ?」

 そのへんに触っちゃいそうだな……そうだ、ちょっと後ろ向いてくれないか。

「いいけど?」

 ご苦労さま。

「あ、ありがと。でも肩をもんでくれたところで何も出ないわよ? こういう占いだったの?」

 まあね。


 めでたし・めでたし

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