第2話
俺と曽根崎は球場の外で羽衣を待っていた。
「岬先輩どうしたんだろ、何か機嫌悪かったみたい。私のせいかな?」
曽根崎あさ美は心配そうに俺に聞いた。
「曽根崎のせいじゃないよ、昨日あいつとちょっとあってな」
「そうなんですか? でも岬先輩らしいです、訓練所でいつも怒ってましたから。それと…… お願いがあるんですけど。浅波さん、私の事あさ美って呼んで下さい!」
彼女は俺に物凄く近づき顔を覗き込むと、下の名前で呼ぶように頼んで来た。
ふわっとシャンプーの香りがして、俺は彼女の大きな二重の瞳に一瞬吸い込まれそうになりドキッとした。メガネとそばかすの顔が幼さを感じるが、流石にこれだけ接近されると平常心ではいられない。
「えっ? ああ、分かった。その…… あさ美にはどんな能力があるんだ?」
俺は彼女に悟られないよう一歩後ずさりして、自然な距離を取る。
「ふっふっふっー、よくぞ聞いてくれました! 私の能力は凄いですよ、透視、物体移動、散弾です!」
あさ美は誇らしげに右腕を伸ばし人差し指をピンと立てて、どうだ! と言わんばかりに胸を張った。
「イメージが湧かんが……」
俺の態度にあさ美はガクッとして腰に手を当てて説明した。
「つまり壁の向こうが見えたり、鍵の掛かったドアを開けたり出来ます。散弾はショットガンの様に使ってください。岬先輩の加速も凄いけど私も負けてませんよ」
「能力の持続時間は?」
「まだ数えるほどしか出撃経験はありませんが、枯渇した事は無いです」
「そうか、頼りになりそうだな」
「それは良かったわね!」
背後から羽衣の声がして、2人は振り向くと彼女は腕組みをしていて不機嫌丸出しだった。
「えっ? 岬先輩、そんなカッコで行くんですか?」
羽衣はいつも通りのミニスカート姿で立っていた。
「そんなカッコ危ないじゃないですか! 私みたく
「いや、あさ美、良いんだ。羽衣は何時もこの格好だから」
頼む曽根崎、羽衣をあまり刺激しないでくれ。
羽衣は気分が良くないとまともに能力を発揮できない。
「2人ともバイクで行くんだ? じゃあ私、あさ美の後ろに乗る」
「ダメですよ岬先輩! 浅波さんと一緒じゃないといざと言うとき繋がらないじゃないですか」
「
羽衣は口を尖らせて呟くと、俺のバイクの後席に跨った。
これから偵察に行くってのにこの雰囲気は最悪だな、まあ、気分屋の羽衣の事だから時間が解決してくれるだろう。
俺達は北区
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます