新たなる仲間

第1話

 昨日戦闘が多発したらしく第一、第二討伐隊がまたやられたらしい。


 最近、写巫女との遭遇率が増加傾向にあり、討伐隊の損耗が激しくペアが組めない者が増えていて現場を悩ませているそうだ。


 ペアには相性があり、易々と相手は見つけられない。


 その為俺達は定期的に適合する相手候補を探すために検査を受けている。


 通称と言われるこの検査では繋がりを数値化して相棒候補に順位を付け、相棒を失った時に繰り上げてペアを組めるようにしているらしい。


 その情報は俺達には開示されていない、何故なら他の候補者とペアを組みたいが為に現状のペア解消に動く者もいるからだ。


 遊撃隊に招集が掛かり、いつものプレハブ小屋に行くと羽衣は先に来ていて椅子に座っていたので俺は彼女の隣に座ると、羽衣は立ち上がり一つ隣の椅子に座りなおした。


「まだ怒ってんのかよ」


 俺は小声で羽衣に聞くと彼女は言った。


「話しかけないで下さい、セクハラおじさん」


 隊長の栗林綾乃が小屋に入ってくると雑談していた隊員達が彼女に注目し静まる。


「それでは始める、皆も知っていると思うが昨日北区で中規模の戦闘があり、負傷者が多く現状でペアの組めない者が続出している、そこで臨時の策としてペアが組めれば代行者が能力者を複数付けても構わない事となった」


 隊員達からどよめきが起こり、辺りが騒々しくなる。


「静かにしろ、早速ウチでも4人受け入れる事となった、紹介する、入って来い」


 プレハブ小屋に4人の少女が入って来て、その中に羽衣の後輩の曽根崎あさ美がいた。


「あさ美……」


 羽衣は驚いて呟いた。


「まず、第一討伐隊から曽根崎あさ美。朝波、岬ペアに加われ」


 羽衣は驚きの声を上げ椅子から立ち上がり皆の注目を浴びた。


 栗林綾乃は岬に聞いた。


「何か不満か?」


「いえ…… 少し驚いただけです」


 羽衣は着席し、一瞬俺の表情をチラ見した。


 曽根崎あさ美は皆に自己紹介すると俺と羽衣の間の空いた席に座り、俺たち2人に微笑んだ。


 残る3人も他のペアに割り当てられ、それぞれ新しい任務を与えられた。


 ブリーフィングが終わり隊員達はそれぞれの任務に向かうため、プレハブ小屋を出て準備に取り掛かり始め部屋の中には数人しかいなくなった。


 曽根崎あさ美が加わった俺達3人は席から立ち上がると、あさ美は俺に言った。


「浅波さん、宜しくお願いします。以前お見合いの時に凄く繋がりが良くてペア組んで欲しいなーって前から思ってたんです」


 あさ美は肩まで伸ばした自分の青い髪を指でクルクルとねじりながら俺の顔をメガネ越しに上目遣いで見た、あさ美は羽衣よりひとつ年下だが背はあさ美の方が10センチは高く、見た目なら羽衣のほうが子供に見える。


「浅波はあさ美にくれてやるわよ」


 羽衣はなぜか不貞腐れている。


「ホントですか? 浅波さんて渋くてカッコいいじゃないですか! くれるんなら貰いますよ私!」


 羽衣はあさ美を一瞬睨んだ。


「あのな、俺は物じゃないんだぞ」


「名前も似てるから良いコンビになるよ」


 羽衣はそう言うと冷笑した。


「そうですね、浅波とあさ美。私、浅波さんと結婚したら浅波あさ美になっちゃう、可笑しいですね」


「結婚したって能力者は子供産めないのに」


 羽衣はあさ美に冷ややかな視線を送る。


「でも、引退したら出来る体になるって噂じゃないですか?」

 

「それはあくまで噂の話でしょ? その前にみんな死んじゃうんだし分かんないよ………… ゴメン変な話して」

 

羽衣は話が逸れてしまって詫びた。


 曽根崎あさ美は羽衣に向き直り「岬先輩、ご指導よろしくお願いします」と言って頭を下げた。


「まぁ、怪我しないように気お付けて、んじゃ後で」


 羽衣はあさ美に背を向け後ろ手に手を振り部屋を出て行った。

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