D.C~僕と彼女の奇跡~

ねむりねずみ@まひろ

【声劇台本】♂1:♀1

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『キャラクター』

宮本♂:何も知らない男 過去に別れた女性の事を

長谷川♀:病気で入院中の女の子


『コピペ用キャスト表』


「D.C~僕と彼女の奇跡~」


宮本:

長谷川:



以下台本

――――――――――――――――



雨の振る葬儀場


宮本「…何で、何で教えてくれなかったんだ!!」


宮本「知っていたら放っておかなかった…」


宮本「…いや…違う。何で気づいてやれなかったんだ俺は!…あの時に…気づいていたら、こんな事には…ならなかったはずだ」


宮本「…謝るな…謝らないでくれよ!!お前が謝る事じゃないんだ…謝るのは…俺の方なんだ。すまない、お前達の事に気づけなくて…すまない…」


宮本「いいや、知らないでは済まされない…無知は罪だ…」


宮本「取り乱して悪かった…。もう、連絡はしないから…安心してくれ…それじゃぁ」



雨の中、途方に暮れながらフラフラと歩く宮本


宮本回想 「もしもし……恭子か?あ?随分昔に別れた相手にに何の用だ?…は?……死んだ…?誰が…?…何を言ってるんだ?俺とお前に子供なんて……嘘だろ…何で、何で言わなかった?!…迷惑って、そんな事ある訳ないだろう!!何があったんだよ…一体…泣いてたらわからないだろう!恭子…恭子!」



雨が強くなる



宮本「…知らなかったんだ、子供がいた事も、あいつが女手一つで育ててきた事も、そのせいであいつ自身も、もう長くないって事も…。なあ、神様!居るんだろ?!居るならさぁ!!…あの子を生き返らせてくれよ…なぁ!!頼むよ!!!…頼むっ…

今まで何もしてやれなかったんだ…だから…もし生き返ってくれるなら…あいつらの為に…

ははは、あいつらの為とか言いながら、結局は、罪滅ぼしがしたいだけ、この罪悪感を無くしたいだけ…だな…。ははは…最低だ…俺は…」



車のブレーキ音とクラクションの音が響いた



【とある病院の屋上】



眠っている宮本を見つめる、少女がいる



宮本「…………」


長谷川「………」


宮本「………ん…」


長谷川「…………」


宮本「はっ!!車がっ?!」


長谷川「きゃぁ!?」


宮本「うわっ…は?子供?」


長谷川「急に大きな声を出さないで下さい、びっくりします」


宮本「あ…すまない」


長谷川「もう…心臓が止まるかと思いました」


宮本「ははは…おかしいな、確かに 車が目の前まで迫ってきて、引かれそうになったはず…まさか全部…夢?」


長谷川「何をぶつぶつ言ってるのか、わかりませんが…」


宮本「ああ、ごめん…実は…」


長谷川「先生、いびきをかきながら寝てましたよ?」


宮本「は?」


長谷川「ごーごー言いながら、寝てましたよ?」


宮本「いや、わざわざ言い換えなくても」


長谷川「………」


宮本「まじで…寝てた?」


長谷川「はい」


宮本「ここで?」


長谷川「ええ、ここで」


宮本「……と言うか…ここはどこだ?」


長谷川「え?…朝倉総合病院ですけど…白衣を着てるのに…病院の先生じゃないんですか?この病院、部外者は立ち入り禁止のはずですよ?…まさか不審者?!」



不審な顔をして、宮本をみる長谷川



宮本「…あ…あーー!そうだった、そうだった!朝倉総合病院の屋上だったーなぁ!いやー、寝ぼけてたのかなぁー!!そういや寝てたもんなぁー!あっはっはっは!」


長谷川「…怪しい」


宮本「…そ、それより、いい天気だなぁ!!」


長谷川「露骨に誤魔化しましたね…。まあ、良いでしょう。この病院のセキュリティは凄いので、部外者が入れないのは本当の事ですし。それで…先生?は勤務に戻らなくて良いんですか?」


宮本「へ?あ、あぁ!今は休憩時間だ!だから、大丈夫」


長谷川「そうですか…」


宮本「キミこそ…えっと…」


長谷川「長谷川です…長谷川芽生。」


宮本「……長谷川…芽生…?」


長谷川「…何ですか、人の顔をジロジロ見て」


宮本「いや、すまん。知り合いと同姓同名だったから、つい」


長谷川「そうですか。それなら、今からそのお知り合いの方に、会いに行かれてはどうです? 」


宮本「いや、もう会えないんだ。」


長谷川「え?何でですか?」


宮本「彼女はもう、亡くなってしまったからね…」


長谷川「…そうでしたか、すみません」


宮本「いや、君が謝ることじゃないよ!気にしないで。えっと、芽生ちゃんは…」


長谷川「その名前で呼ばないでください!!」



声を荒らげる長谷川



宮本「…ご、ごめん」


長谷川「その名前…嫌いなんです…」


宮本「名前が嫌いって、いったい、どうして…」


長谷川「別に、先生に話す必要ありません」


宮本「…まあ、そうだよな、うん」



しゅんと項垂れる宮本

少しバツの悪そうな長谷川



宮本「まあ、いい!話したくないなら仕方ないもんな!」


長谷川「…無理やりには聞かないんですね」


宮本「ん?だって嫌がってるのに、無理強いは良くないだろ?誰にだって、話たくない事の1つや2つあるもんさ」


長谷川「そう…ですか。先生も話たくない事、あるんですか?」


宮本「うん、ある。口に出せるようになるには、もう少し時間が必要かな」


長谷川「時間…?」


宮本「そう、心に出来た傷はさ、簡単には塞がらないんだよ。無理して繕ったって、いつかその綻びから、また傷が広がる。雑に塞げば塞ぐほど、余計に傷が広がるんだ」


長谷川「………」


宮本「だから、時間を掛けて…その傷とゆっくり向き合って行くしかないんだよ。」


長谷川「傷と向き合う…」


宮本「うん。簡単に聞こえるけど、もの凄く勇気のいることなんだよ。目をそらさず、真正面から傷と向き合って、自分の中で納得の行く答えをみいだす。そうしないと、前には進めないんだ。…こればかりは、他人がどうこうできる問題じゃないからね」


長谷川「…先生は変わってますね」


宮本「そうかな?俺は普通だと思うんだけど」


長谷川「普通、話せば傷が軽くなるのに、何で言わないんだって、責めますよ?」


宮本「いやー、それは無理だ!だって、俺が聞きたくないもん」


長谷川「は?」


宮本「ほら、嫌がってるのに無理に聞き出すとかさ、普通に考えて怖くない?下手したら通報ものだよ?しかも、キミみたいな幼い子相手に。俺は、まだ人生終わらせたくない!」


長谷川「…ふっ…ふふふ…変な先生」


宮本「お、笑ったな」


長谷川「…私だって、笑いますよ、人間ですから」


宮本「すまん、気を悪くしたか?」


長谷川「ふふふ………先生」


宮本「ん?なんだい?」


長谷川「…私ね、明日手術なんだ」


宮本「……病気…だったのか」


長谷川「ふふ…病気じゃないと、入院しないよ 」


宮本「それも…そうか」


長谷川「成功する確率が低いうえに、成功したとしても、長く生きられるかわからないんだって」


宮本「…そんな」


長谷川「私ね、生まれつき、心臓に大きな穴が空いてて、それを塞ぐ手術を何回もしてるの。ほら、今もこうして機械を繋いでいないと…すぐ心臓がとまっちゃう。運動したり、友達と遊んだり、何かしたくても、何も出来なかった。小さい頃から入退院ばっかり繰り返してさ、いつの間にか、友達も居なくなっちゃった。」


宮本「……」


長谷川「別に悲観してる訳じゃないよ?たださ、時々思うんだ。私がもっと普通の体だったら…お母さんや友達の態度も、少しは違ったのかなって」


宮本「君のお母さんは…」


長谷川「あ、お母さんは生きてるよ?ただ、ちょっとヒステリー気味って言うか、怒ると歯止めが効かないだけで…」


宮本「…もしかして、その痣は」


長谷川「私が普通じゃないからいけないの、お母さんは悪くない!」


宮本「…ああ、すまない」


長谷川「それにさ、学校にも行かなくて済むんだから、案外、病気も悪くないと思わない?」


宮本「学校…嫌いなのか?」


長谷川「…好きじゃない…かな。ただでさえハンデがあるのに、片親だって虐められるし」


宮本「片親?」


長谷川「そ、うちお父さんいないんだ!まあ、産まれた時から居ないから、父親がいるって感覚がわかんないんだけどね」


宮本「…そう…か」


長谷川「ふふ、先生って本当に変わってるね。何で私の事で、そんなに悲しそうな顔するかなぁ?」


宮本「…何でだろうな、わからない、君の話を聞いていると…何故かこう、胸が締め付けられるんだ」


長谷川「ふふ、変な先生。でも、話聞いてくれて…嬉しかったよ、ありがとね」


宮本「…なぁ!君は何しに屋上に来たんだい?」


長谷川「……」


宮本「…命を投げ出したくて…ここに来たのか?」


長谷川「だとしたら…止める?」


宮本「……」


長谷川「他の人みたいに…綺麗事でも言って思いとどまらせる?」


宮本「いや…俺には、そんな事言う資格はないよ」


長谷川「…ふふふ、本当に変な先生。普通、必死になって止めるよ?」


宮本「だって、死にたいって思う事も、君の大切な気持ちの1つだろう?俺は、君の人生の全てを見てきたわけじゃないから…頭ごなしに否定出来ないよ」


長谷川「そっか」


宮本「ただ、ひとつ言えるのは…君とまた話したって思った…なんて言うか、凄く…楽しかったんだ」


長谷川「私も、久しぶりに笑ったもん…楽しいってこういう事だったって…思い出せた」


宮本「そうか、なら良かった。」


長谷川「……先生、そろそろ戻らないと看護師さんに怒られちゃうんじゃない?」


宮本「あ…ああ、そうだな、そろそろ戻るよ…君は?」


長谷川「私はもう少しここで涼んで行く」


宮本「そうか…なあ、大丈夫か?」


長谷川「何が?」


宮本「いや、何となく」


長谷川「ふふ、大丈夫」


宮本「……そう…か」


長谷川「ほら、早く行った行った」


宮本「あ、あぁ」



扉の方へ向かう宮本



長谷川「先生…ありがとうね」


宮本M「なんだ…何か引っかかる…だが、彼女はもう大丈夫だと言った…でも…あの笑顔は…恭子と同じ。あれは……」


長谷川M「あーあ、初対面なのに色々と話しすぎちゃった…かな。変なの…誰にも期待してなかったのに…不思議な先生。屋上で大きないびきかきながら寝てるし、嫌な事は聞かないし、同情する訳でもない。挙句の果てには、死にたいって気持ちを持っても良いだなんて…ふふふ、最後に会ったのがあの人で、良かった。…もし、生まれ変われるなら、その時は…先生の子供が…良いなぁ…」



重力に身を任せる長谷川

落ちゆくその手を宮本は掴んだ

屋上の石に頭をぶつけながらも

長谷川の命を、腕1本で繋ぎ止める



宮本「芽生!!!!ぐっ…痛ってえぇ!!!」


長谷川「っ?!先生…?」


宮本「…やっぱり、戻ってきて正解だった!!」


長谷川「先生…」


宮本「待ってろ!芽生!!!今、持ち上げるからっ!!ぐあっ…」


長谷川「先生!血が出て…っつ!!手を離して!!じゃないと先生まで落ちちゃう!」


宮本「離すかよ!!!絶対に離すもんか!!!」


長谷川「何で…もう、やめてよ…これ以上…期待させないでよ!!!」


宮本「くっ…芽生…目を開けて…俺の目を見るんだ!!」


長谷川「嫌よ!!!嫌…」


宮本「芽生!!!」


長谷川「っ?!」


宮本「大丈夫だ、大丈夫だから」


長谷川「先…生」


宮本「大丈夫だぞ、芽生、今っ引き上げて…やるからなっ」


長谷川「っ…」


宮本「大丈夫だ…大丈夫…このっ…よっとっ…くっ…!」



屋上に、這い上がる2人

肩で息をしながら 仰向けになる宮本

俯いたまま何も言わない長谷川



長谷川「……何で戻っで来たの」



それ以上言葉が出ない長谷川



宮本「…大丈夫って言ったから」


長谷川「…は?」


宮本「君にそっくりな人がいてさ、その人も同じように大丈夫って言うんだ…」


長谷川「…意味がわからない、大丈夫って言ってたなら、放っておけば良かったじゃないですか」


宮本「…悲しそうに笑いながら、大丈夫じゃないのに、大丈夫って言うんだよ」


長谷川「………」


宮本「気づいて欲しい…でも気づいて欲しくない。助けて欲しいのに、助けてって言い出せない…だから、笑って大丈夫って言うんだ」


長谷川「そんなの…私も同じとは限らないじゃない」


宮本「同じだよ…だって…君は、恭子の血を引いてるんだから」


長谷川「……恭子?…なんでお母さんの名前を…先生?」


宮本「あれ…なんだか…意識が……?」


長谷川「……先生?先生?!」


宮本「あぁ…芽生…悪い……眠い…」


長谷川「先生!!っだめだよ!寝たら…先生!!先生!!…誰か!!誰かぁぁ!!」



意識を失いながら

宮本は長谷川を見ていた



宮本M「あーあ…結局泣かせちまったか。ただ、笑って欲しかっただけなんだけどなぁ。へへ…あの子が芽生…か。ははは、あの気の強い所なんて、恭子にそっくりじゃねえか…。まあ、一目会えただけでも…奇跡だな…。本当、変な夢だ」



まどろみの中、突如車のクラクションがなり

宮本にぶつかる 既の所で止まる

驚いた宮本は尻もちをつく



宮本「は?!うわぁああ!!!……あ、危なっ…」


宮本「すいません、ぼうっとしてて…ああ大丈夫です、は?頭から血?いや、痛みは何も無いですよ…ぶつかってないんですから、ほら傷なんて無いでしょう?…古傷?そんなのあったかなぁ…何にせよ、怪我はないんで、はい、すみません…はい、」



ドロドロになりながら 家に帰る宮本



宮本「はぁ…まさか帰り道で、車に轢かれそうになるとは、ついてないなぁ。この泥…落ちるかなぁ」



誰もいない アパートへと向かう

すると、何故か自分の部屋にあかりがついている



宮本「はぁ…今日も寂しい我が家に、無事に到着しましたよっと……あれ?電気付けっぱなしにしてたっけ…?…鍵が空いてる?」


??「やっと帰ってきたー!って、ドロドロじゃん、あーもう!何やってんの!?」


宮本「へ?」


??「うわっ、酷い…このスーツ、ついこの間クリーニング出したばかりなのに!!もう!しっかりしてよ!!」



そこには、見た事のある少女が少し大人になっていた



宮本「芽…生?」


芽生「何よ?…どうしたの?鳩が豆鉄砲喰らったような顔して」


宮本「芽生…何で…制服?芽生は…12歳じゃ…」


芽生「は?華の女子高生に何言ってんの?」


宮本「まさか…そんな…」


芽生「ほら!!早く脱いでよ!ドロドロのままじゃ、お母さんに怒られるよ!」


宮本「…あ、あぁ」


芽生「お母さーん、お父さん帰ってきたよー!」


宮本「お母さん…?恭子…か?」


芽生「はぁ?お母さんの名前も忘れちゃったの?」


宮本「いや…そうか。…手術…成功したんだな…そうか…そうか…」


芽生「はぁぁ?何年前の話ししてるのよ!もうすっかり完治したわよ?ってか、一緒に病院に行ったじゃない!」


宮本「ああ、そうだった…かな」


芽生「ねえお父さん、頭でも打ったの?!…って何泣いてるの?!」


宮本「ああ、すまん」


芽生「もーー!!!お風呂沸かしてあるんだから、早く入っちゃってよー!後がつっかえてるの!」


宮本「ああ、そうするよ!……芽生!!」


芽生「んー?何?」


宮本「もう、大丈夫か?」


芽生「は?何言ってんの?大丈夫に決まってんじゃん!」


最高の笑顔で答える芽生


宮本「そうか…なら良かった!」


芽生「意味わかんない!!!もう、先にお風呂入るからね!!」


宮本「す、すまん、今から入るから…芽生待ってくれ、芽生ー!」



END

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