第21話
自宅に到着すると、玄関扉の前で腕を後ろに組んで俯きながら左足をふらふらと揺らして待っていたミズキ先輩の姿があった。
「待たせてすみません、ミズキ先輩。暑いのにこんなところで......今、開けますので」
「私こそ、我が儘なこといってごめんね。こんにちは......って、もうこんばんはだよね、妹さんもごめんね。佐久間君に遊んでもらってたのに」
「うっ。違っ......遊んでもらってたわけじゃ......」
絆が一瞬呻き、否定しようとしていた。
俺は玄関扉を開けて、ミズキ先輩をあがるように促し、ミズキ先輩と絆の後に続いてあがった。
リビングのダイニングテーブルを挟み、ダイニングチェアに腰をおろす三人。
「トラブルが起きたんですか?先輩にだったり、周りなんかで」
「トラブルじゃないけど、佐久間君と居れたらって......」
「良かったです、トラブルじゃなくて。良いですよ、そのくらいなら」
「ありがとう、佐久間君」
その後、蒸し麺が冷蔵庫にあり、夕食に焼きそばを作り、夕食を済ませた俺ら三人。
「ありがとう。佐久間君に作ってもらうなんて、美味しかったよ」
先輩にお礼を言われて嬉しくないわけがなかった。
「簡単なものなので、それほどのものじゃ......」
恥ずかしくて、むず痒いったらありゃしない。
浴槽に湯を張るために浴室に向かう俺。
一通り済ませ、リビングに戻ると先輩の表情に陰がさしていた。
「あのぅ、先輩。やっぱり何かありました?」
ダイニングチェアに腰掛けたミズキ先輩に遠慮がちな声で訊ねることにした俺。
「......佐久間君の部屋でなら」
そう、俯きがちな先輩が呟いた。
先輩と二階に上がり、自室に招き入れて先輩が話すのを待つことにした。
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