第18話
翌日、リビングでテレビを観ていると騒がしい足音が二階からリビングに近づいてくる。
「兄貴、スマホ鳴ってる」
そう言って、スマホを渡される。
スマホを受け取ると歌が流れた。
『佐久間、今日暇か?』
「そうだよ。デートはしないの、拓海?」
『わかりきってること聞くなよ。課題を終わらせたいらしい、早めに。身体を動かしたい気分。佐久間に任せるよ、じゃあ』
通話がきれる。
終始声が低い拓海だった。
メールを送ろうとしている俺に、絆が突然大声をあげる。
「バドミントンしたいから付き合って、兄貴」
「何だよ、いきなり。友達とやればいいだろ」
「用事があるって、皆が。そんなに私のこと嫌いなの?何で付き合ってくれないの?いつもいつも──」
「落ち着けって、絆。怒りすぎだろ。やるから、付き合うから落ち着け」
「今から行くよ、早くっ」
膨れっ面のまま腕を掴み引きずろうとする絆。
「逃げないよ。何でバドミントンなんだ。それに着替えてないから。すぐ来るから、外で待ってろ」
「最初の体育の授業がバドミントンで上手いって褒められたいの」
「やったな、授業で。それでか。授業でやっただけだから、それほど上手くないけど。いいのか?」
「いいのっ。宮尾土体育館でしたい」
「もしかして、たい焼きが目的でバドミントンはついでか?」
「......っ、ちがっ違うしっ。バドミントンがしたいのっ。兄貴はっ、何でっ!」
頬が赤く染まり、慌てて、否定する妹。
殴りそうな勢いの絆から離れ、服を着替えるために二階に向かう。
着替え終え、外で待つ妹のもとへ駆け寄る。
間隔を開け、並んで歩く。
コンビニが見えてきた時に絆が話しかけてきた。
「ラケット買って、兄貴。今後もやりたいから、兄貴と」
「借りれるからそれでいいだろ。買わなくても......」
「兄貴と汗を流して、楽しみたい。だめ?それだけじゃ」
「本当だな?絆」
絆が頷く。
ショッピングモールに寄り、ラケットとシャトルを購入して、宮尾土体育館を目指す。
宮尾土体育館に到着して、入館料は無料で、シューズを300円で借りてバドミントンのコートに向かう。
そこそこの距離を歩く。
軽く準備体操をしてから、力をいれずラリーをする。10回以上続くラリー。
20分後。
ラリーを終え、休憩していると拓海が現れる。
「佐久間、バドミントンか?絆さんがいるなんて聞いてないけど」
「そうだよ。言い出したらきかなくて」
「持ってないよ、ラケット」
「いいよ。さきにやってるから動けるようにしておいて」
拓海から返事は聞こえない。
俺と絆は、コートに入り、絆がサービスをして、バドミントンが始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます