第13話

放課後。

すぐさま、ミズキ先輩がいる病院に向かった俺。

彼女がいる病室まで走った。

病室に着くと彼女はベッドで寝息をたてていた。

「ミズキ先輩...」

俺は、ベッドの横に置かれていた小さな椅子に腰かけ、彼女の手を優しく握る。

少しして、彼女は目を覚ました。

「ここは、どっうぅ...こな、の?......佐久間く...ん?」

状況が理解できないようだった。

「そうだよ。ここは病院です」

「びょ、いん......すごく怖かった、もうだめかと...思った、の。佐久間君、が来てくれて助かった...よ。ありがとう、うっううぅ...ぐすっ、ううあああぁぁー」

「もう、大丈夫だよ。先輩。もう手をあげないと思う。だから心配しないで、ミズキ先輩」

俺は、彼女を抱き締め包み込む。

「ミズキ、大丈夫?心配で心配で、ご、めん。守ってあげられなくてぇ、ううっうぅー」

病室に入ってきた女性が彼女の名前を呼び、泣き崩れた。

「お母さん......」

先輩が小さく呟く。


俺は、先輩のお母さんに謝罪した。

「ごめん、なさい......お母さん。ミズキ先輩を守れなくて、ごめん、なさ、い...俺は先輩を救えなかった...謝っても許してもらえないと思いますが、謝ることしか出来ない俺ですみません」

ふるえながら俺は泣き続けるお母さんに頭を下げ謝罪を続けた。


お母さんからは何も返ってこなかった。

重く沈んだ空気の病室にたえきれず、病院を後にした俺。


ミズキ先輩とお母さんを見ることができなかった。

俺は、自宅に帰るとすぐに布団を被り泣き続け、いつの間にか寝てしまっていた。

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