第10話
翌日の火曜日。
目が覚めて、上体をおこすとミズキ先輩が泣いていた。
俺は、彼女の隣に座り彼女のふるえる両手を握る。
俺は声をかけてあげたいけど、言葉が出てこなかった。
「行けない......足が、すくんで。こわいの、視線がわた...しに、むいて。孤独な...の、こわい...たえられない。一緒......にいて、おねがぁ...い。さくまぁぅくぅぅ。あああああぁぁぁー」
「ミズキ先輩の隣にいて寄り添いたいけど、学校に行かなきゃいけないんだ。今日は休みましょ、ミズキ先輩。これ以上はあなたの精神と身体が治らなくなってしまう。ここで安静にしていてください。休み時間に連絡します、吐き出したいことを聞きます。授業が終わったら、すぐに帰ってきます。抱き締めます、だから...」
俺は、彼女の背中に腕をまわし抱き締める。
彼女は泣きながら、俺を呼ぶ。
泣き止んだ彼女をベッドに寝かせ、一言残し、部屋を出ていく。
リビングで母さんにミズキ先輩のことを話して、朝食を口に運ぶ。
母さんにはいじめのことなんて、話せない。話したらだめだ。
俺は、家を出て学校へ向かう。
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