第9話

自室にて。

俺とミズキ先輩はベッドに座っている。

「今日、言ったよね。佐久間君、最後に。私は服を脱がされ......裸にされた、男に。厭らしい目でみられ、触ら─」

「やめてくれ、ミズキ先輩。もう言わないで。なのに...なんで、抱いてくれなんて言うの。せんぱいぃ」

俺は、涙を流しながら彼女に聞く。

「佐久間君になら身体を委ねてもいいと、助けられたときに思ったの。佐久間君は厭らしい目でみることはないと思った。彼らとは違い、傷つけることはないと確信したの。佐久間君に触れたとき、温かくて優しいと感じた。だから、佐久間君の優しさに触れるために言ったの」

彼女は儚い笑顔を俺に向ける。

「ミズキ先輩。さっきも言ったけど、あなたを抱くことはできない...だけど、抱き締めることはできる。寄り添うこともできる。あなたを救いたい、あなたを笑顔がたえない女性になってほしい。少し前、俺はあなたより酷いことをされた子を救えなかった。傷つく女の人をこれ以上みたくない。だから、ミズキ先輩が心の底から好きと思える男性に抱いてもらってください。俺はできない」

俺は、泣きながら言う。

「私を抱き締めて。佐久間君の優しさに包まれていたい」

俺は、優しくミズキ先輩の白くてやわらかく、そして細い身体を抱き締める。

俺達は手を繋ぎながら、眠りにつく。

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