第2話

高校2年の時、それは突然起こった

私が学校に行ってる間、家でおばあちゃんが倒れたと帰宅してから母に言われた

母も父も心底めんどくさいと言った表情だった

口を開けば遺産の事ばかり

まだおばあちゃんは入院しただけなのにもう遺産の話をしているのだ

私はそんな両親に腹がたった

その家の空間にいるのが嫌で私は家を飛び出しておばあちゃんの入院している病院に向かった


病院に行くとおばあちゃんは管をつけられて呼吸器もつけていた

私はそのおばあちゃんの姿を見て泣きそうになりながらおばあちゃんのところに駆け寄り必死に声をかけた

何度おばあちゃんに声をかけても返事も反応もない

我慢できずに涙を零しながらおばあちゃんを呼び続けたけれどそれでもおばあちゃんは目を覚まさなかった

それから私は家に帰ることなくずっとおばあちゃんがの手を握って手の温かさを感じながらずっとそばにいた

泣きつかれて少し眠ってしまっていたのか空は暗くなっていた

看護婦さんが扉を開けて入って来た

閉院時間だからお家に帰りましょうと言われた

私はおばあちゃんのもとを離れたくなかった

そばにいたいと看護婦さんに何度も伝えた

看護婦さんは私の両親と会ったからなのか私に「あなたの気持ちはわかるわ。あんなご両親のもとで生活するのは辛いと思う。けれどあなたには学校があるしあなたを家に帰すことは義務でもあるの。辛いかもしれないけれどわかって?」と優しい言葉をかけてくれた

私はわかったと返すしかなかった

看護婦さん優しくほほえむと「わかってくれてありがとう。ごめんなさいね。あなたはとても良い子だわ。きっとあなたの祈りはおばあちゃんに届くはずだから」と言ってくれた

少し気持ちが楽になった気がして私はそのまま家に帰った

家に帰ったが相変わらず両親は遺産のことで喧嘩を続け姉弟達も遺産が入ったあと何を買うかなどの話しかしておらず、そんな家族が気持ち悪くて吐き気がした

私は誰とも口を聞かず部屋に戻って嫌な気持ちを振り払うように勉強に打ち込んだ

食欲は湧かずご飯は食べなかった


あれから私は時間があれば毎日のようにおばあちゃんのもとを訪ねるようになった

おばあちゃんがいつでも目を覚ましてもいいように欲しいものは何でも買ってきた

でも一向におばあちゃんは目を覚まさなかった

熱心にお見舞いに来る私を見て看護婦さんたちは関心していた

他の家族は1度たりともお見舞いに来なかった

私を気にかけてくれていた看護婦さんとも仲良くなった

名前はカナさんと言うらしい

おばあちゃんにするつもりだった話は全部カナさんに話していた

カナさんは何でも聞いてくれてとても優しく綺麗な人だった

包容力があって何でもただ黙って聞いてくれていた

なんだかおばあちゃんと話しているようでとってもホッとした

他の看護婦さんたちとも仲良くなっておばあちゃんの寝ているそばでいろんな話をして楽しかったし嬉しかった

おばあちゃん以外でこんなに話を聞いてくれたり優しくしてくれる人は初めてだったからだ

看護婦さんたちには感謝しかなかった


いつものように病院にお見舞いに行き眠っているおばあちゃんに話しかけていたとき、ふとおばあちゃんの手が動いたような気がした

ハッとした私はおばあちゃんの顔を覗き込み何度も呼んだ

するとおばあちゃんは徐々に瞼を開けたのだ

焦点の合わない目をパチパチと何度か繰り返したあと、おばあちゃんは私の顔を見て「幸、おはよう。ずっとそばにいてくれたんだね。ありがとう。」と言ってくれた

私は嬉しくて涙が止まらなかった

おばあちゃんは顔を伏せて泣く私の頭を撫でながら「たくさん話しかけてくれたんだね。全部聞こえていたよ。たくさん不安にさせてしまったね。ごめんね、待たせて。おばあちゃんはもう大丈夫だよ」と言った

おばあちゃんに抱きついて子供みたいにわんわん泣いた

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