森の住人たち

ヒペリカム

第1話

私は幸(さち)

高校を卒業してから25歳の今まで日々社畜として働くOLだ

幸と名前をつけられたけど名前に反して私は子供の頃から不幸だった

幼少期、両親は私の面倒を見てくれなかった

私には姉と兄もいたが姉弟たちも私の事など眼中になかった

私を見ては疎ましく思うような顔をして「邪魔だから近寄らないで」とか「目障りなんだよ、消えて」とか日々そんなことを言われる毎日だった

両親に話したこともあったけれど両親は「ふーん、あっそう」みたいな感じでまともに取り合ってもくれず、むしろ「あんたが役立たずなんだから仕方ないんじゃない?」と言われる始末だった

そんな中でおばあちゃんだけが唯一の救いだった

おばあちゃんだけは私を気にかけてくれて、両親に怒られて落ち込んでいる私に優しく頭を撫でながら「お前はよくやってるよ、だからあの人たちの言葉は真に受けるんじゃないよ。自分の道は自分で切り開くんだ。大丈夫、ばあちゃんはいつでも幸の味方で幸のためならなんだって力を貸してあげるからね」と言ってくれた

私はそう言ってくれるおばあちゃんが大好きでよく抱きしめてもらいながらわんわん泣いて背中をさすってもらっては「おばあちゃんがいるよ」って言ってくれたのを覚えている

おばあちゃんに励ましてもらって応援してもらっていたから勉強だってなんだって頑張ってきた


学校に行ってからは家族だけでなくクラスメイト達からいじめられることもたくさんあった

親から愛されてないというだけで「あいつは疫病神だから親も見捨てたんだ」とか「あいつに近づいたら不幸になる」と言われて周囲から避けられた

時には机に「消えろ」とか「ブス」とか「死神」とか落書きされてることも多かった

授業中に丸められた紙が飛んできて開くと「親から捨てられたんだからとっとと学校から消えればいいのに」って悪口が書いてあった

うつむく私を見て周りはくすくす笑うばかりだった

何度も死にたいと思う気持ちはあったけれどおばあちゃんだけは私のことを大切に思ってくれて慰めてくれたり励ましてくれたり、私には本当におばあちゃんだけが心のよりどころだった


毎日イジメられる日が続いて、それは学校を卒業してからも絶えることはなく、高校までそんなイジメの日々が続いた

そのたびにおばあちゃんは私を応援してくれたし力を貸してくれた

おばあちゃんがいたからどんなに辛くたって乗り越えることができた

高校の進学に必要なお金もおばあちゃんが工面してくれてなんとか通うことができていた

おばあちゃんに勧められてバイトも初めた

コンビニのバイトではなくて工場で働かせてもらっていずれ自立するための資金にしていた

おばあちゃんにはどんなに感謝してもしきれないくらいお世話になった

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