第14話 ふりむかない
智と別れてからは茂とずっといるようになった。
同じ大学だったので智の耳にもすぐにはいっただろう。
付き合ってたわけじゃないけどそれも時間の問題だった。
どちらがいいだすか、それだけだった。
いつものように茂が家に遊びに来た。
そしていつものようにおしゃべりをしていたらなぜか経験人数の話になった。
「恥ずかしいんだけど俺、誰ともしたことないんだよね。風俗とかもいったことないし。」
『そうなの?!
…私としてみる?!』
ちょっと冗談っぽく話したけどちょっと沈黙してしまった。
友達の雰囲気から男女の雰囲気にスイッチが切り替わった。
「あのさ、俺初めてなんだよ。だから、その大事にって言うとあれなんだけど、ちゃんと付き合った人としたいんだ。だから…その。
りなちゃん。」
「俺と付き合ってほしい。」
そのまま私は頷いて、私たちは体を重ねた。
初めてだと言っていたけど、茂の気持ちがストレートに伝わって、とても気持ち良かった。
それからは会うたびに体を重ねた。
でもデートもたくさんした。
おしゃれなお店でランチしたり、お酒を飲んだり、楽しいことは全部茂としていた。
だけど、私にはどうしても智のことが気になっていた。
私はこんなだけど、智はどうしてる?
元気にしてるかな?
なにをしてても智を思い出していた。
智とこんな風にデートできたら幸せだっただろうな。
茂といるのにぽかんと、穴が開いているようなそんな気持ちだった。
でももう終わったこと。
智といるとやきもちと不安でいっぱいだった。
愛されてるかもわからなかった。
今はいっぱい愛されてる。
だから振り向いてはいけない。
思い出が美化されてるだけなんだ。
しっかりしなくちゃ。前を向かなきゃ。
forever you @rina0602
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