第13話 別れ

「俺さ何度か言おうと思ってたんだけど、りなちゃん、あいつと別れたら?」


突然茂から言われた。


『なにー、どうしたの急に。』


笑ってはぐらかそうとした。


「りなちゃん、幸せ?あいつといて、幸せ?」


私は即答できなかった。


『……。』


「俺といるとき、すごくいい顔するやん。

彼氏といるときそんな顔できる??

蓮からも色々聞くけど、それって幸せなんか?

他の女のとこ泊まってきて、それでもいいって本音?

蓮は優しいから別れろとか直球なこと言ってこないんだろうけど、俺はそれは違うと思うんだ。」


茂のストレートな言葉が胸に刺さった。


「何年も付き合ってたらそれは勇気があるかも知れんけど、そのあとのことを、考えてごらんよ。」


私は智の気まぐれにずるずると付き合っていた。


でも…。

でもって思うってことは…?



『考えてみる。』



「うん、不安になったらいつでも電話して!」


茂の言葉に背中を押された。


そして私はついに智に連絡をした。



『智…、別れてほしい。』



「え?本気?」


と返ってきた。


『本気。』


「そっか。わかった。」



なんだかあっけない別れだった。


私のこの三年間なんだったんだろう…。


こんなに簡単に終わっちゃうんだね。

やっぱり好きなのは私だけだったんだ。


涙も出なかった。


すぐに茂に電話をした。


『別れたよ!』


「おー!!よく頑張ったな。ないてない?泣き虫りなちゃん(笑)」


そんな冗談を聞いていたら緊張の糸が切れて泣き出してしまった。


『本当に泣いてるやん!!今からそっち行くわ!!』



茂は急いで私のとこに来てくれた。


「よくがんばったな。今日はいっぱい、泣いてな。」


『うん。うん。』


そう言って、私は泣きじゃくった。


大好きな智。

愛しい智。

後にも先にも愛したのはあなただけだった。


そして、さようなら。


智に幸せになってほしい。


心からそう願っていた。


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