第5話 転校

初めて一つになって、初めてお泊まりをしてからすぐのことだった。


「俺、学校やめようかなと思ってるんだ。」


『え!?え?!?!』


たまに智はびっくりするようなことを言う。

付き合い始めた時とよく似てる。


「私立だからさ、公立の学校に転校するの。」


『えー、それはやめたほうがいいんじゃない??』


せっかく苦労して入った私立高校を辞めるのはどうなの?と思っていた。


智は頭がいいし、テニスも強かった。

でも遊びたいからテニスはやめたっていってた。


『なんで高校やめるの?』

「んー、なんとなくかな。」

『えー、なんとなくでやめないでよー。』


そのなんとなくの理由はずっとわからないままなんだけど、私と同じ高校に通いたかったんだと思う。


「りなの高校に転校しようかと思ってるんだ!」

『え?!嘘?!それなら大歓迎なんだけど!!』

「りなのとこの高校は進学校だしさ、いいと思うんだ!」

『うん!一緒に勉強しよう!』

「勉強はしたくないなー(笑)」


智が同じ教室にいるのを何度も何度も想像してはにやついていた。


それとなく先生に話を聞いてみようかな、とか、同じクラスにしてくれないかな、とか、本当にいろんなことを考えた。


だけどその夢はあっけなく壊れた。


私の高校と智の地元では校区が違うみたいで転校することができなかった。


でもちょっとだけ距離が高くなるのが嬉しかった。

今までよりもすぐあえる。


それは本当に幸せなことだった。


そして、これもまた私たちの運命の一つだったのか、神様はとっても意地悪な試練を与えてくる。




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