第2話 魔王降臨
「はぁーー、まだここから出られないのか、魔王アバターの力は接続されていないし何なんだよ」
俺は疲れていたので、どーせすぐ誰かが助けに来るだろうしと思いながら、何処なのかわからない真っ暗な所でも御構い無しに、寝てしまった。
寝てから3時間くらい経過しただろうか、まだ俺は起きたく無かったが、明るい光が差し込んできた。
「うわぁ」
思わず声を上げてしまった。
「もうちょっと寝かしてくれたっていいじゃな......」
「え......」
「えーーーーー」
「何処なんだよここ」
気がついたらそこは、俺たちが作り上げた世界とは全く違う所に飛ばされていた。
まずは、魔王アルカディアのアバターは装備出来ているのか確認した、どうやら魔王の装備はあるらしい。しかしここ何処なんだよ、他のTTORPGへの転移バグも考えては見たものの、やはり運営に連絡が繋がらない。
情報がやはり必要だな、全知全能の情報機能を使ってみた、しかし多重10次元宇宙の範囲外との事で、ロードするにはやはり時間がかかるようだ。どうやら俺はテレポーターのバグか神様のいたずらかどうか判断出来ないが、本物の異世界に来てしまったらしい。
あっさり受け入れたくは無いが、致し方はない。戻る方法があっても何かの事があって俺の作った魔王の力が呼び寄せられた可能性も否定できない、沢山ある最強の機能も使ってみたかったし、同僚には悪いが俺は自由にさせてもらいます。と思っていた矢先、女性の悲鳴が聞こえた。
「きゃーー」
俺の方に目掛けて若い美人女性が走ってきた。
「助けて下さい、化け物が」
「化け物?」
俺はよくわかないまま聞き返した。そこに、でかいアメーバのような獣のようなよくわかない生物に乗っている奴らがこちらに来た。
「ふはははは、我が名はシュテファン・ヘルムドソン」
「フロイデンタール様の御命令でここの町全て我らが駆逐し、領土とする」
「下がって......」
俺は隠れている女性にそう言い掛けた。
そこに空から飛んできた少女3人組がいた。リーダーの様な赤髪のギャルゲーツンデレ系女と右にいる、黄色い髪の天然系女、左に青色の髪をしたボーイッシュ系な女。
いかにもアニメで出てきそうな、魔法少女だった。ちなみに性格は顔的に偏見で、そう解釈しています。
「魔法少女チームステファニーシオンこの世界の秩序と平和を守る者」
「君達は私達が来たから、もう大丈夫」
俺の後ろに隠れていた女性は安心していた。この世界は、テレビを使ってアニメを見ていた時代の女子向けヒーロー的な物に、どうやら守られているらしい。
「蘭、この2人を安全な場所に」
「お願い」
青髪の魔法少女は蘭というらしい。
「わかった」
俺たちは蘭に抱き抱えられて空を飛んで逃げていた。
魔法少女達は懸命に戦っていたが、2人とも吹き飛ばされて建物にうずくまっていた。
「おい、すまないが蘭」
「我を下ろしてくれないか?」
「馬鹿か、ここはまだ危険だ」
「しかも空の上だぞ」
「大丈夫だ」
と言って俺は蘭の手を離した。
「お前、空飛べるのか!」
驚いた表情をしていた。
「空を浮いたくらいで驚くか、君だって浮いているだろうにそれを我に聞くか?」
「これは、女神様から頂いた魔法の力で浮いております」
「そんじょそこらの人が使えるはずがありません」
「貴方も女神様からその力を頂いたのでしょう?」
「そんな道化に貰ったものではない」
俺はきっぱりいった、俺がどれだけこのアバター作るのに寿命を費やしたと思ってるだ。と、心の中で思っていた。
「私達を愚弄するならまだしも、女神様を愚弄するのか」
「すまんが、あんな道化、いや散り以下の分際に何を授かると言うのだ?」
そして呆れたのか、何も言い返して来なくなった。
「では、俺は行かせてもらう」
「どこへ行く気だ」
「あの敵を倒しにだ、決まっているだろう?」
「そんな無茶な、いくら空が飛べるっていっても」
「まーあんたはその女性を安全な所へ連れて行ってから文句を言え」
「わかった、だが無茶はするなよ、死んだり怪我なんてされたら私たちの失態だ」
「この俺があんな塵風情に負けるわけない」
俺はこの力を手に入れて、少し厨二病みたいな感じの事をしてきたくなってしまった。
なんか強い口調にいつのまにかなっている事に気がついてしまって、少し恥ずかしかった。
さーてそろそろ塵を始末するか。俺は子供の様にこの力を使えることを心の中ではわくわくしていた。
「小娘たちよ、さーて貴様らから食材にしてくれる」
魔法少女達も絶体絶命で2人とも血を流しながら半泣きになっていた。
瞬間移動の技も使えたりするが会えて空を飛んで悠長に登場した俺。
「おい、そこの塵」
「逃げてきた小僧ではないか、身の程知らずがお前から食われたいのか?」
「身の程知らずはお前だ、塵」
「お前みたいな下等な存在が我に勝てるとでも?」
「お願い逃げて、もう人が化け物にやられて行く姿は見たくない」
赤髪の魔法少女は、涙目になって俺に言ってきた。
「心配するな、直ぐ片づける」
「そんなに死にたいのなら貴様からやってやる」
そう言うとシュテファン・ヘルムドソンはアメーバの様な物から降り、悪魔へと変化した。
「シュテファン・ヘルムドソンは悪魔の王と恐れられし存在ぞ」
「俺の力の源が見えて、どうだ声も出せないだろう?」
勝ち誇った顔で高笑いしていた。
まー全く悪魔の王の力の源は感じられないなーと思いながら俺はマインドコントロールを使う。
「ひれ伏せ」
「く、貴様何をした」
「いや、低級のマインドコントロールだよ」
「なんだと」
「貴様は一体何者なんだ」
「我の名か」
「ならばこの名を、心と精神と肉体に刻むがいい」
「我が名はアルカディー・ザドル」
「多重10次元宇宙の世界を、創造し破壊する魔王である」
「さて、お遊びは終わりだ」
「ままってくれ、魔王と言うのなら人ごときを見捨てて我らと」
「醜いぞ」
「我はな人間の敵でも味方でもない存在だ」
「だがしかし、この我に不敬な発言をしておきながら散々生物を殺してきたお前に」
「生きる資格はない」
「そこに居る魔法少女みたいに、甘くはないからな」
「空間圧縮」
「さー、お仲間のアメーバと共に生の根源ごと消えるがいい」
「助けて助けてくれーー」
グチャと音を立てて潰れた。
そして俺はしれっと、魔法で魔法少女2人を回復させてやった。
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