第2話 ようこそ、童貞のみが支配する世界へ

「お前の目的はなんだ?」

 俺は、異世界の大地を足で実感しながら疑問を投げかけていた。


「そうね、私が女神だから」


「だから何だよ」

 コイツの回答は答えになっていなかった、女神だから何だよ。


「あら、不満っぽい表情ね。まるでアソコを焦らされた男の表情ね」


「うっせぇ! お前、少しは下ネタ言うのを止めたらどうだ!?」


「まあまあ、落ち着きなさい。急がなくても逝かせてあげるわよ」


「そんな事を言ってんじゃ、ねぇんだよ! だからさ……」


「冗談もここまでにしといてあげる。女神にもいろいろな種類があるじゃない? 私はその中でも童貞と処女を司る女神なの」


「そーゆーか……」

 俺は、この女神に心の底から諦めていた。

 見た目は、サラサラな金髪が腰まであって胸も中くらいあって形も綺麗で、何よりも顔が美人だったからだ。

 本当は彼女の美貌に虜になっていた、時期が僕にはありました。


「何よ、そのため息は……だから童貞は女の子から毛嫌いされる」


「うっせえ、下ネタを日常会話で使うド変態女神に言われたくないわ!」


「うるさいわね、その女神女神って何なの? 私には有名で立派な名前があるのっ」


「何言ってんだ、コイツ?」


「これだから童貞は……自己紹介するわ、私の名前はカーマ。そう行ったほうが分かり易いわよね?」


「え、? こいつがカーマだって? ウソだろ」

 カーマって言ったら、愛の女神だよな!? なんでそんなのが俺の目の前に居るんだ?


「どうやら、戸惑っているようね。それも当然! 私、ゼウスのクソ野郎によって罰として人間の死後の手伝いをしているんだから」


「自慢みたいに言うな! で、何でそんな事になったんだ?」


「いい質問ね、ゼウスのクソ野郎が私を誘惑してきたの。だから、思いっきりキンタマを蹴り上げて、棒の短さをバカにしてあげたら怒っちゃって」


「これは……お前が悪いわ……」


「前の童貞転生者にも同じことを言われたわ、まったく、童貞って集団行動でもしてるの? これじゃあ童貞で誠が死んだ理由も良く分かるわ」


「俺の名誉ある死因を汚すのやめてもらってもいいですか!?」


「あら、童貞の割には崇める行為を知っているのは高評価よ」


「おいそこの女、大人しく俺の童貞卒業のために使われろ!」

「従った方が身のためでござんすよ」


 声が聞こえたその後ろには男二人が舌を舐めながら立っていた。

 

 それを確認すると、カーマはブロンドの髪を揺らしながら得意げに質問した。


「ヤル前に聞くけど、あなた達の年齢は?」


「俺は24だ」

「ワイは22でござんす」


 それを聞くなり、ピンクの唇が上がって、


「そう……あなた達、運が悪かったわね! ここには童貞力30の男がいるのよ!」


「自慢気に言うな! 俺にややこしい仕事を擦り付けるんじゃない! 俺は痛いの嫌いだし、戦う力もないんだよ!」


「あるわよ、さっきあげたでしょ?」


「え? コレの事?」

 ズボンから出したのはさっきカーマから貰った玉だ。何故か白く光っていた。


「それをぶつけなさい! コレが白くなった状態でぶつける事で、相手を精神的にも肉体的にもダメージを与えられる」


「いや、俺。筋力ないし、第一人殺しなんて……」


「誰が、殺すなんて言ったの? これは殺すんじゃなくて撃退するため!」


「この女の口を塞げ!!!!」

「ハイでござんす」


 大男ともやし体型の男がカーマに走って近づく。


「ちっくしょーう! どうにでもなれー!」

 俺は眼を瞑りながら白い球が自分の手から離れる解放感を感じていた。


 ドッカーン! と破裂音が聞こえて匠は目を見開くと、


「やったわ、誠! 童貞共を殲滅できたわ!」


「俺が……やったのか?」


 そこには、重なって大の字で伸びる二人の姿があった。どうやら気絶しているらしい。 


「そうよ、童貞のくせに良くやるわね!」


「その童貞のくせにがなければ純粋に喜べてたよ、こんちくしょう!」

 

 その直後、男達に会心の一撃を放った玉が爆発し、白い液体を出した。


「なんだっ、これ?……」


「何って決まってるじゃない。白〇液よ?」


「いっその事、俺を殺してくれー!!!!!!」

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