下ネタで異世界を攻略して何が悪い!
佐藤夜空
第1話 この世界は童貞に厳しいようだ
「よっしゃー、今日の仕事終わったぜー、今日誕生日だし何か買っていくか。ケーキとか」
俺、輝夜誠は三十歳会社員だ。まて、否まで言わなくてもこの年になると嫌々でも分かってしまうものだ、彼女いない歴イコール年齢だ。笑えよ、別にもう諦めたんだよ、結婚とかエッチとか……
「誕生日になってもいつもの道か、それも一人で。空しく……」
トボトボいつものリア充増殖区域を通りながら俺は虚しくなっていた。リア充なんて本当に……
「爆発して欲しい……」
アレは、俺がそう考えていた同時だった。眼の前に大型トラックが歩道に向かって暴走していた。
見たところ制御不能らしい。
「なんだ、なんだ!? おい、トラックが突っ込んでくるぞ! そこの姉ちゃん危ねえよ!」
「キャァァァァァァァァァァ!!!!!!」
俺のすぐ目の前だった、綺麗目なおっぱいバインバインの童顔美女がトラックとぶつかりそうになっていた。
どうする!? 顔も知らない他人だぞ? 助ける義理なんてない。それに、リア充かもしれないし……
「ええい、クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
俺は三十歳の誕生日にトラック目掛けて突っ込んでいった。
当然助かるはずもなく俺は、
「おめでとうございます! 三十歳の誕生日に人生終了しました~そ、れ、も~童貞のままでぇー! マジで受ける~」
死亡して、このデリカシーのない綺麗目な女に笑われていた。
「うっせぇ! しょうがねぇだろ、あの子を死なせるわけにはいかなかったんだ……」
「あの子がどうなったのか、知りたい?」
空気を読んだのか、謎の女は俺が一番気になる事を質問してきた。
「あぁ、知りたい。あの子はどうなったんだ」
「これを見て頂戴」
謎の女の合図と共に黒空間全体がスクリーンになってさっき助けた子を映した。
「目の前で、人が……人が……」
「あんな 大丈夫? 怪我無い?」
「明人さん、私、怖かった……」
「君がこんな目に遭っていたのに、助けられなくてごめん」
「明人さんの温もり……」
「あんな」
「明人さん」
「そして、二人を熱いキスをすると! それが童貞に与えられた最後だって?」
「これはいくら何でも傑作! 傑作よ!」
映像が消える中、俺は不快な感情が増し謎の女は涙を浮かべながら爆笑していた。
「ふざけるな! 俺は認めないぞ! 謎の女、お前は神か女神だな!」
「良く分かったわね、私は女神よ?」
「異世界転生のラノベとアニメを観まくったオタク童貞を舐めんな!」
「ハイハイ、だから童貞は、、、イキりやすい。私、こーゆー人嫌い」
この女、自分が女神だからって椅子に座って悠々とお茶をするとは……
「俺は、どうなるんだよ! 早く答えろ、クソ女神がっ!」
「この目……いいわ、もっともっと、もっと見せなさい」
「濁すつもりか!」
「……もし異世界に転生できるとしたら?」
こいつ……本当に言っているのか? だとしたら、
「行きたい」
「それで? その後は?」
「その後?」
「その後、貴方が異世界に転生した後はどうするの?」
何を言っているクソ女神は、そんなの異世界モノのラノベを読んでいれば簡単な事。
「そりゃあ魔王を討伐したり、ハーレム築いたりして……」
「無理な話ね、魔王を討伐? 彼の童貞力は底が見えないし、ハーレムを築こうもんならこの世界に居られなくなるわ」
「な、何を言って……」
「そう。じゃあ、貴方がこれから強制的に転生させられる世界の設定を説明するわ! この世界はどれだけ童貞を守れたかによって強さが決まる世界なの」
「マジかよ……」
「そうよ、って事は、分かるわよね?」
「エッチ禁止って事……か?」
「そうよ、まこと。あなたが童貞を捨てれば私の目的は達成できなくなって貴方は、第二の人生に幕を閉じることになるわ」
「おい、それは俺にとって死んだも当然だぜ」
「あなたさっき死んだわよ」
「あ、そうだった」
「その代わりと言ってもアレなんだけど、特典がそれなりにあるわよ?」
「何だ?」
クソ女神の懐から出てきたのは、白く光った玉だった。
「これよ、テクノブレイク」
「テクノ……おい! お前、本当に女神かよ、マジで下品だからやめろ! ブレイクでいいだろ、ブレイクで!」
「分かったわよ、仕方ない……」
「よろしく頼む」
「そのブレイクはね、童貞の魔力を無限に引き出せる玉なの」
「それがもらえるって事か、絶対副作用とかあるだろ?」
「無いわ、死と同価値なんだから」
「それもそうか」
「はい、持っておきなさい」
「あぁ、分かった」
「そして、いまから行く異世界はエッチ以外何しても良いから。略奪も良し、冒険も良し、正義の味方も良し、ハーレムも一応OKだから」
「あぁ、少し質問だ。現実世界に戻ることは可能か?」
「ゼロではないけれど……」
「ゼロではないけれど……?」
俺は思わず聞き返してしまった。
「魔王を倒したら行ける」
「マジか、それを早く言えよ!」
「でも、倒すのは不可能に近いわ。この世界に転生した人間は何度も挑んだの。あっけなくやつ策にかかってイッタ……」
「俺は一度死んだんだ、だから死んだとしても同じ」
「あなた、現実世界にもし行けたら何がしたいの?」
「決まってるだろ……リア充に復讐する」
白い光に包まれて、俺は異世界転生を果たした。
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