宇宙と魔砲とアンデッド

第0話

　そうそう、ありゃ何時の話だったかなあ。確か、二十一世紀の・・・半ば位だったかねえ。どっかのベンチャー企業が、人工衛星を打ち上げたんだ。いやいや、それは別におかしい話じゃ無い。その頃にゃ、もう当然だったからね。

　だが、打ち上げたモンがマズかった。何を考えてたのか知らんが、連中重力砲なんてモンを打ち上げやがってね。重力砲？あれだよ、俗に言うブラックホール・キャノンさ。

　んで、案の定ぶっ放した。ソイツは月を掠めて、近場に着弾したんだ。そしたら、奇妙なことが起こってね。着弾跡――勿論ブラックホールだが――から、何かデカいモンが出てきてね。後で分かったことだが、・・・宇宙戦艦だったのさ。

　勿論、地上は大混乱さ。大気圏で燃え尽きることも無く、大西洋に落っこちた。そっから得体の知れない連中がうじゃうじゃ出てきて、地球を侵略してった。

　で、もう終わりかと思ってた所に、またブラックホールが出来て、今度は魔女とか言う奴が出てきた。話によりゃ何かこの世界がまずいってんで、神様が遣わしたんだと。普通天使とか勇者とか、そういうもんだと思うんだがなあ。

　んでそっからなんやかんやあって、そいつらにかろうじて人類は勝ったわけだ。そしたら、例の魔女がまた御神託なんてモンを持って来やがったのさ。

『これから色んなモンがそっちに降ってくると思うから、後処理よろしく』、とな。全く、都合の良い終末処理場にされちまったって訳だ。

　そんでもって、五回ぐらいの星間大戦が起きて、知らん内に人類は太陽系を制覇してて、今に至るって訳。どうだ、面白くなかったろ？

　・・・あ？そりゃ、俺も結構な又聞きだからなあ。最初のそれからもう千年以上経ってるって言うけど、ホントのことは誰も知りやしねえさ。ま、その方が幸せかもしれねえけどな。